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「ご馳走様でした」
「またいらしてくださいね。お子様ランチ仕様にしてお出ししますので、お仕事頑張って!」
奥さんの満面の笑みに見送られ、僕らは店を出た。
大通りに出ると、会社に戻る人たちでごった返していた。いつもなら、お昼終わりで仕事に戻るから気持ち的にもストレスを感じるところだが、今日はなんだか気分が良くて午後も頑張る気力が湧いている。新名目さんも同じだろうか。
「凄いいい所でしたね、あの喫茶店みたいなお店」
「そうね、大正解だったわね。次回行ったらまたお子様ランチ仕様にしてくれるみたいだけど、この際『大人限定ランチ』とかの名前を提案してみようかしら」
「お子様ランチがあるから、大人限定…『おとなランチ』とか。大人は平仮名で」
「あっ!いいかもね!次回行ったらあの奥さんに提案してみようか!」
仕事とは関係ないが、いつも以上に楽しそうに話す新名目さんに僕は上司と部下、先輩と後輩とはいえ少しだけ上下関係の距離が縮んだように思えた。
【完】
おとなランチ 橘花あざみ @ray-777
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