48. Battle2

 空間が揺れ動くような衝撃を感じる。

 これって、もしかして。。。。。

 四宮さん、三条さん、結界を破壊しようとしています??

 こんなに衝撃がすごいなら、教えてくれよ。


 そう突っ込みながら、七海ナミをほうを見ると、ワナワナ震えいてた。

もちろん怒りでだよね。。。。。


「如月カイ、大した二枚舌ですね。一緒にいたあの二人が助けに来たんですね?」

「いや、待て、誤解だ。誤解ではないけど、誤解だ」

 俺が弁明を一生懸命考えている時間は。

 もらえなかった。

 

 七海ナミがブーメランを投げるような横投げの動きをする。

 

 その瞬間、さきほどの青白い矢の先のようなものが飛んでくる。

 俺は、目と鼻の先で避ける。


 いや、これ、一発でも当たったら、即死じゃね?


「如月カイ、観念しなさい。もう交渉はなしです。いますぐ殺します」


 七海ナミはその言葉と共に横投げをひたすら繰り返す、1,2,3。

 数えている矢先、槍の刃の先が3本飛んでくる。

 俺は、横並びに連続してくる槍の刃を屈み込むようにして避け、端に逃げる。


「避けるのがうまいですね。ならこれならどうですか」


 七海は刃を横投げで投げつけてくる。

 1本、胴体を狙った刃を俺はそのまま右にずれる形でよける。

 2本、横にずれたその先を狙って足元に刃がくる。


(しまっ。。。)


 ここでしてはいけないジャンプをしてしまう。七海ナミはニヤっと笑い、そこに狙ったかのように3本目の刃を投げつけてくる。


(2発目をここで使うわけには)


 ここで俺は左腕を捨てることにする。頭めがけて飛んできた刃を左腕でそのまま受ける。


「ぐぉ!!」

 

 形のない青い白い炎のような刃は俺はの左腕を差し込んだ状態でその形を消す。

 その流れで着地をして、そのまま、また端へと走る。

 飛び降りた先に刃が来ていたら、俺の足もやられ、身動きができなくなったいた。

 

 しかし、刃は飛んでこなかった。


「自分の腕を盾にするなんて、根性ありますね。もちろん、頭に刺さっていたらそこで試合終了ですけどね」


「ハァ、ハァ、ハァ。おい、お前、、、、ハァ、女のガキの癖に、、、、ハァ、熱いバスケット漫画の名言を、、、ハァ、ここでさりげなく使ってんじゃねーよ」


「息切れの激しさとともに言葉使いも悪くなってきましたね。焦ってきてますか?」


 完全な圧勝を感じてならない七海は、ドヤ顔で俺に問うてくる。


 七海の言う通り、大して動いているわけでもないのに、連続して緊張感のある刃を交わす動きは俺に尋常じゃない疲労感をもたらせている。

 息切れも止まらない。

 血こそ出ないものの、本物の刃で刺されたとしても同じような熱くて、その後ジンとする痛みがジワジワとくるこの体感も疲労感にプラスしてしんどい。

 冷や汗も止まらない。心臓が疼く。


 ただ、一つだけ、俺の中で見えたものがある。俺の推測が間違っていなければ。。。。。


「そうだな。見ての通り、俺は、戦闘においてはまだ赤子みたいなものだから、このままでは勝ち目がなさそうだわ」


「ってことで」


 俺は、そう言うと共に七海ナミに向かって走り始める。


「如月カイ、最後の悪あがきですか」


 七海ナミに向かって走る俺に向かって、1本目、またもや足元を狙ってくる。ここはジャンプするわけにはいかない。


「ぐぅ!!」


 右足に刃が刺さるが、気合と根性で走り続ける。


 2本目、ジャンプを見越して狙っていた刃は、俺の頭上を抜けていく。


「悪あがきですね如月カイ、これでエンドです。」


 その言葉と共に投げてくる3本目、俺の胴体に向かって飛んでくる。ここは使わせてもらうぞ三条カノン。


 飛んでくる刃をグローブで吹き飛ばす。


 「ちょ、ちょ、待ちなさいです。如月カイ」


 途端に焦り始める七海ナミ。


 俺の予想は的中だ。


 最後の一発を七海ナミの右腕に叩きつける。


「おっ、らぁー」


 最後の一発を叩きつけ、その衝撃で七海ナミは反転して飛ばされる。そして、俺は、そのまま倒れこむ。


「如月、、、、、カイ、、、、」


「ハァ、ハァ、ハァ。七海、お前、三本づつしか連続して刃を投げられないだろ?」


「痛いですよ。如月カイ。こんな小さな子に暴力を振るうなんて、犯罪者ですよ」

 反転して倒れた七海ナミは起き上がりながら、いきなり俺を犯罪者扱いしてくる。

 涙を少し流しているようにみえる。

 そりゃ、俺だって小さい女の子相手にここまでガチで戦いたくないわ。

 腕も足も痛ーし。


「如月カイ、さすがですね。その通りです。だから突っ込んできたんですね。けど」

 右腕は明らかに使えなさそうだが、それ以外は問題なさそうな七海ナミは立ち上がり。


「左腕も、右足も負傷していて、倒れてまだ立ち上げることもできないあなたと、右腕は使えないものの、もう立ち上がって次の攻撃をしようとしているナミとはでは、どちらに軍配があがりそうでしょうか?」


「俺はヒール魔術が使えるから、特に問題はない」

「え?!、本当ですか?」

 びっくりする七海ナミ。


「当たり前だろ、それじゃなかったら、ここまで捨て身で攻めるわけないだろ」


 ・・・・・もちろん、嘘である。


 ・・・・・


 ・・・・・


「あれ、回復しないんですか?」

 七海ナミは律儀にも俺の回復を待っているようだ。敵ながらに純粋であっぱれだ。

 俺は以前として、倒れているので、右手を使って体を起こして、ゆっくり立ち上がる。

 そして、息を整える。

 左腕と右足の痛みはピークに達してる。


「安心しろ、戦いが終わったら、お前のその右腕も治してやるから」

「如月カイ、、、、あなた、敵なのか味方なのかわからないですね」

「当たり前だろ。そもそも俺は戦うことを望んでいない。七海ナミ。お前はなぜそこまでしてまで戦う事を望んでいるんだ?命をかけてまでしなければいけないことなのか?

「・・・・・」


 七海ナミが言葉に詰まり始める。


「人それぞれに動機があるからな。七海にもあるんだろ。もちろん俺にもある。四宮にだって、三条にだってある。でもこんなにお互いがボロボロになりながらもやりたいことなのか?

 もう一度言うぞ、七海。

 俺は、お前が一番望んでいる、タイムマシンを七海が作って、俺は一切タッチしないって形に全面協力したって構わない。俺の動機は俺自身の望みであるより、俺に関係する奴らがベストでなくてもベターな着地を踏む事だからな。

 それでお互いやもちろん周りの人を傷つけずに済むのであれば。

 ただ、さきほども言ったが、四宮や三条は違う。今でこそ三人で一緒に行動しているが、元々四宮も三条も対立していたんだ。俺も絡んでいることで。

 その中で、いろいろ話し合って一緒に納得できる着地地点を見出していく事に決めたんだ。

 七海もそうやって持っていく事はできないのか?」


 七海ナミはワナワナ震えている。次は怒りではないだろう。俺の言葉が響いているのだと信じている。表情がよく見えない。もしかしたら泣いているかもしれない。

 俺は、この後の戦闘はもうないだろうと思い、右足を引きずりながら七海ナミのところに近づく。

 頭をポンっと起きながら


「今は別にすべてを話せ。とは言わない。とりあえず、七海がどうしても俺にタイムマシンに関わってほしくなっていうなら、従うよ。四宮、三条には説明しなくちゃいけないし、理解を求めなければいけないけどな。それは、七海も手伝えよ」


 うわああ。と泣き出す七海。七海ナミは七海ナミで辛い何かと戦っていたのだろうか。緊張の糸が途切れた時の三条カノンを思い出す。


「ス、ス、ス。。。。。如月カイ、、、、ズルいですよ」


「Release」

「The world of the barrier」


 七海ナミは、俺に頭をポンと置かれた状態で、涙を左手で擦り、小さく呟いた。


 覆われたダークサイドの空間はなくなる。

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