42. 作戦
「実験部は、現在部員はいないんだ。七海は自分があたかも正式な部員のように言っているが実は違う。俺達と実際は同じだ。二階堂先生から打診されているだけだ」
今ふと思うと、二階堂アヤノ先生の実験部に入りなさいも、申し出なのか、依頼なのか、命令なのか、打診なのか。もはや分からないな。七海ナミのは打診ではないのは確かだな。
「そして、部の存続をするには、3名以上の部員が必要な訳で、二階堂先生は、七海の話を聞く限りだと、特定の誰かを入れたい訳ではなく、部を存続させる為だけにその辺にフラフラしていて部に入っていない奴に声をかけていると俺は思っている」
「つまりは?」
さっきまでノーリアクションだった四宮シノアが、ここで俺のほうに少し目線を向けながら口を挟んでくる。大事な点での確認得意だよね。お前。
「つまりは、他のに部員候補がいない前提になってしまうので確固たるものではないんだが、俺が部に入らない。つまりは、四宮も三条も入らないわけなので、七海が求めている環境を作り出す事は、部の存続につながらないので実質無理なんだ」
「盲点というよりチープね。その子馬鹿なの?」
呆れた感じで四宮は俺に確認してくる。
「まーそうだな。子供なのに大人ぶりたがるしな」
「ふーん。それじゃ、七海に諦めさせるの?」
三条カノンも続きが気になるようだ。
「いや、変に二階堂先生に俺から嫌がらせ受けたとか言われても、事態が悪化するだけなので、俺なりの折衷案を出してみたんだ」
「折衷案てどんな?」
引き続き三条カノンが食いつく。四宮シノアは折衷案に関して一旦ノーコメント。
「七海が現時点で俺に伝えてきている内容を考えると、実験部や科学実験室で自分が何かしたい事があるので、その空間というか時間を自分一人で使いたいので、他の邪魔を排除したいんだと思う。
何かしたいその内容事態は教えてはくれなかった。
そこで俺が提案したのは、どのみち部の存続を考えると3名以上の部員が必要なので、俺達が入らないで、七海だけが入るという選択肢は厳しいだろ?と指摘した上で、七海の希望は自分の空間と時間を確保する事なので、曜日を分けるなりして、実験部と科学実験室を使う時間を分けないか?という話をしたんだ」
「うん、それいいね」
三条カノンは、俺の折衷案に同意をしてくれた。
「それで、七海さんはなんていったの?」
四宮シノアは、折衷案の内容次第と言ったところか、俺に続きを求めてくる。
「ところが七海は、その提案にさらなる要求を突きつけてきたんだ。俺達のしている活動内容は報告しろと。但し自分のしている活動内容に関しては内緒だと」
「それ、絶対怪しいパターンだよ」
「だろ」
「それは筋が通ってないわね。エージェントを語らないにしても。。。その点も含めて如月くんの中ではほぼ黒と断定したのかしら?」
「そうだな。なんにせよ、色々課題てんこ盛りな七海なわけだ。やりとりは前後してしまったが、ヒナリの身の安全を仄めかして来たのは、この折衷案が決裂したあとだった」
「なるほど。。。それで結局如月くんとしてはどうしたいの?」
四宮が核心をついてくる。
「そうなんだ。ここまでくだりなんだが、結局俺としては、ヒナリの件もあるし、エージェントかもしれないけど、相手は小学生だし、俺一人でこのまま引き続き対応をしようかと思っている」
「ちょっと、それはいきなりルール違反じゃないの?」
三条カノンは、みんなで一緒に行動しましょう条例に違反していると主張する。
「そうね、前に話した内容とは少し動きが違うんじゃないかしら?」
四宮シノアも三条カノンに同意する形で俺を責めてくる。
「もちろん、前に交わした約束だって覚えている。四宮や三条に隠したい事があるわけじゃない。もちろん別行動する事で見えない事も出てくるかもしれないのは理解している。
だからこそ、ちゃんとここで説明もしたし、もちろんその後経過報告もしっかりするつもりだ。なんなら遠隔でみようと思えばみれるんだろ?」
「うーん」
俺の必死な身振り手振りでの主張に少し通ずるものはあったのか、三条カノンは少し考えるような素振りをしてくれた。
「遠隔で見るって言っても魔術を使うからそんなにお気軽なものじゃないのよ」
四宮シノアは俺の遠隔監視に関しては、少し微妙なようだ。
遠隔監視によっていつでも見れてしまうプライベート面に関して少し気にしてほしかったなんて甘え考えは、今を持って忘れよう。
「そうか。遠隔監視に関しては、俺も知識が足りなかったな。すまん。今から監視してくれ。とかであれば問題ないだろ?」
常に発動状態にいる事が厳しいのだろうと察したので、使うタイミングを打診してみる。
「そうね。今から。とか場面やタイミングを指定されるのであればそこまでキツくはないわ」
四宮シノアは、俺の察しを察したかわからないが、同意してくれた。
「三条はどうだ?」
「うん、私も大丈夫?」
「よかった。正直、今後も同じような場面になることはいくらでもあると思うんだ。前にも話した通り、守られずに自分だけで対応できる場面もほしいしな。
だから、今回はその最初のお試しって事で、俺の動きを見守ってほしい。もちろん何かあればすぐ助けというか止めに入ってもらっても構わない。
俺はもちろんそうならないように努力するけど」
俺の必死のプレゼンテーションが通じたのか、
「それじゃ、今回はそのパターンでいきましょう。
但し遠隔監視に関しては魔術量をそこそこ使うので、私か三条さんどちらかで行うわ。
もし結界張られたらもう中は見えなくなるので、突入するわね。
突入事態も結界を破らなければいけないので、多分突入できた頃には、状況によっては、私達も戦うのは無理なので、その場合は、逃げる事を優先しましょう」
四宮シノアは今回の動きの具体的な内容を聞くと改めてドキっとする。
未だになれないが、これが俺が生きてきた世界と四宮シノアや三条カノンが生きてきた世界の違いなのである。と。
「了解。わかった。なんか作戦みたいだね。」
三条カノンはワクワクしたようなリアクションで同意する。
さすが、俺とは違うな。
「四宮、三条、さんきゅうな。俺はお前らと行動を共にできてよかったよ」
「ちょ、何言ってんのよ?死亡フラグ立つから、そういう事言うのをやめなさい」
「そうだよ、如月、感謝は戻って来てからにして」
俺の珍しい感謝に、四宮シノアは少し照れて、三条カノンは茶化す事なく、会話の着地どころを持ってくる。
少しだけだが、俺達も距離が近くなってきたのかもしれない。
「じゃ、今から職員室に行って、二階堂先生に入部届け出してくるか」
「そうね」
「そうしましょ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます