10. 鬼畜さん扱い、そして接触

 ここで、その事実を四宮シノアに突き詰めてみることをシュミレートしてみた。っが、明確な返答を拒まれる気がした。

 とにかく情報開示したがらない。


 それが四宮シノアや三条カノンに感じた俺の”違和感”である。

 ただ言いたくないだけなのか、言えない何かがあるのか。

 とにかく、認識ができたものを追求せずにそのまましれっとやりとりの中に盛り込ますことで、こいつは理解しているんだと思わせれればそれでいいと思った。

 スタンスは明確になってきたので、一旦、変態から鬼畜までグレードアップしてしまった状況に対しての対応策に動くとする。


「敵かどうかわからない三条との接触時に、大声を出されて家族に聞かれるのを防いだ対応策があーなっただけだ。

 覆いかぶさって接触を図ったのもそのためだけだし、泣かせてしまったのは、その行動が単純に想定外すぎてびびっただけのことだぞ。

 その後、離れてやり取りしていたのも見ているんだろ?ちょっと威圧的だったとは反省はしたし、その後は和解済みだ」


「そのなの。ふーん」

 明らかに俺を疑っている表情をする四宮シノアではあったが、明らかにさきほどまでの、そうなの?の声色とは違っていたように聞こえたので、疑っている風なのだろうと理解することにした。


「どちらにしろ変態は変わらないわ。ものすごく、いやらしい顔をしていたのは変わらないわけだし」

 四宮シノアが、再三復唱するくらいだから、本当にいやらしい顔をしていたのかもしれない。

 自分の顔は見れないので、心配になる。

 それが本当なら、その顔を三条カノンに見られていたということになるので、ものすごく恥ずかしくなる。

 俺は、ものすごいいやらしい顔しながら、スパイの尋問のようなことをしていたのだから。

 それって、映画とかに出てくるヒロインを捕らえて悪さしようとする悪役モブAだよね、俺。唯一の救いは、鬼畜から変態にグレードダウンできたことであろう。


「おまえはとにかく、俺を普通の人としては扱いたくないんだな。まーいいや。問題はこれからの俺と四宮と三条の関係性をどうやって築いていくかだよな」

「え。何言ってるの?」

 四宮シノアは、キツネにつままれたような顔をする。


「如月くんが、無意識とはいえ乱暴して鳴かせた三条なんそらと私を天秤にかけているの?」

 四宮シノアは、信じられない。と言ったような表情で聞いてくる。


「ちょっと待て。いろいろ間違った前提で話をされているので、どこをどう訂正いれていけばいいかすら、もはやわからないが、乱暴もしてないし、泣かせたけど、鳴かせてはいない。危ない表現をするんじゃない」


「あら、失礼。如月くんがあまりに変な事を言うから、アブノーマルな関係故の、頭のおかしい判断をされたのかと思ってしまったわ」


 それくらいありえないことを言ったという自覚はできました。


「つまりは、四宮としては、三条とも協力しながらも、四宮と昨日交わした進め方で続けていく事態ありえないと」

 昨日、三条カノンにした確認と同じ確認をする。返ってくる答えは分かっているものの。


「当たり前でしょ。如月くんの性癖を全面にぶつけて、きゃんきゃん受け入れたメス犬と私を一緒に扱うなんてありえないわよ」

 どうやら、四宮シノアの中では、俺の鬼畜イメージから変態イメージへの変更に伴って三条カノンも変態のカテゴリにいれることでバランスを保ったのかもしれない。

 それはさておき。むしろ、それがあるから四宮シノアの三条カノンへの変態レッテル及び敵性判断をしていることについて、改めさせる努力だけはしてみよう。


「三条カノンが、どういうミッションをこなそうとしているのかは知らないだろ?」

「知らないけど、如月くんはどこまでいっても私の考えに100%添うべきなので、他の考えをもった人を絡める時点でアウトよ」

 四宮シノアは、心の奥底からあなた間違っているわよ。と言わんばかりの表情と振る舞いで畳み掛けてくる。


 なんだか、私にはあなたしかいないので、あなたも私だけでしょ。という危ない要素をはらんだ彼女のような言い回しだな。

 そもそも、三条カノンがいようがいまいが、100%君の考えにそうよ。

 なんて一言も言ってませんが、それを言うのは避けておこう。現状を悪化するにすぎない。

 常に大事なのは、真実がどうかでない。現状をどう捉えて対応するかである。

 あと、四宮シノアの一番の希望って薬で永遠にお花畑にいってらっしゃいプランだろ。それを俺が超絶拒否している時点で、100%合わせるというのは違う気もするが、もちろん、言わない。


「そうか。四宮は、他の女に俺が取られるのが嫌なんだな」

 少しからかった形で攻めてみる。少しでも会話のイニシアチブを持つ事が大事だ。


「そうよ。私はどこまでいっても如月くんの性奴隷だから、他の性奴隷を作る事は許されないわ」

 ダメだった。。。。。


「ちょっと待て。いつのまに、四宮は俺の性奴隷になったんだ。性奴隷というわりには、相当、俺が四宮にいじられまくっているんだけど」

 四宮シノアのぶっ飛んだトークには慣れていたはずだが、想定のさらに上にいくのが四宮シノアだな。

 さすがです。

 なんとか会話の方向をずらして三条カノンに対する敵視を回避したいところではあるが、難しそうだ。さらにその上をいく返答が返ってくる。


「とにかく、四宮としては三条はどんな形であれ関わるのは反対なんだな」


「そうね。私は器の広い人だから、如月くんの魔が差した事は許してあげるわ。なので、三条なにがしには、もう一切協力できないし、俺はどこまでいっても四宮の奴隷でいきたいんだ。そういいなさい」

 さっきまで、性奴隷だなんだ言っていたのに、結局は俺が奴隷の立場として三条に断るんかい。

 しかも、なぜか四宮シノアに許してもらう体裁になっている流れ。

 エアールーラー(空気の支配者)の名前をほしいままにできるな。


「そうかわかったよ。でも俺は本当に四宮に対しても三条に対しても、一緒に問題を解決したい仲間になりたいと思っているから、どちらかを選べって言われると判断はできない。

 直接やりとりをさせることはしないよう努力するから、三条との縁を切れというのは聞けないスタンスをとらさせてもらっていいか?」

 俺は、四宮シノアとも三条カノンともどちらか一人だけ。というのはできない。

 俺の考えに添えないなら、逆におまえとの関係を続けられない。とまで言ってもいいのかもしれないが、俺はチキンなので言えない。

 一応S志望なんだけどな。自分のしょぼさを目の当たりにする。


「そう。わかったわ如月くんが、そこまでハーレムを作りたいっていうなら、私は少し対策を考えるわ。

 四宮様、ごめんなさい。私が間違っていました。と土下座しながらキャンキャン泣き叫ぶ状態を作り出すしかないってことね。

 私は、如月くんのハーレム組に入るつもりがないのは、ちゃんと理解してね」

「土下座しながらキャンキャン泣き叫ぶって。犬か俺は。むしろ、ハーレムを作りたいなんてこれっぽちも思ってないわ」

 四宮シノアはあー言えばこう言う。こう言えばあーいう。タイプだが、なんだかんだは、自分と俺の二人のみの環境に拘るんだな。

 その気持ちを言葉で表すとなんなのかは想像がつきそうでも言わないのが紳士だと思うので、俺の心のなかでだけ止めておく。


「三条とももう一度、話をさせてくれ」

 再度、四宮シノアに懇願をする。


「その必要はないよ」

 俺と四宮シノアの会話をどこまで聞いていたかわからないが、そこに三条カノンが現れる。


「三条」

 参った。結局は俺のなかでの気持ちの整理だけなのかもしれないが、答えをすぐ出さなくてもいいのであれば、少なくとも自分の周りにいる人たちが比較的納得がいく方向性をしっかり見出してから判断していきたいと思ったが、その考えはきっとだめなんだろう。

 答えの見えていない中で、二人が接触してしまった。


 どうなる俺?

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