第百三四話 裁断
翌日、すぐに会議の準備がされた。
呼ばれた中の多くはナンバーズであり、NO.1のサナを初め、NO.3の浩、NO.6のアシュリー、No.9のアイラ......等といった、そうそうたるメンバーが集結。
そんな中、アマツはそのあまりにも濃い人たちがいるせいで、非常に肩身の狭い思いをしているのだった。
「うわぁ、なんだこの......」
何体もの虎の檻の中に放り投げられたような、今のアマツの心境を例えるならこれが正しいのか。
大人数ならホールやらそこらの大空間でその概要説明が行われる。
だが何しろ今回は、合計で20人にも満たないという、かなりの少人数。
だからいつも重役たちが使っているような会議室を用いているため、当然圧迫感というか、重圧感も違う。
「ペソの時以来ね、こんなナンバーズ達が集まっている中に入ったのって」
「アリアスもあれに参加してたんですか?」
「そうよ」
横で座っているアリアスと琳が話している中、アマツはプレッシャーを感じていた。
アリアスが言っていた通り、他にも上級戦士は何名かはいるものの、大方はペソ攻略作戦の会議の時と同じような、ナンバーズが複数人集まっている状況だ。
だから多少は慣れていると思っていたが、それでも緊張している。
そしてなんとなくその原因は察している。
「......どうしたのアマツ、そんな真顔で? そんなに緊張してるの?」
アリアスがからかい半分でアマツに聞いてくる。
「いやなんか......サナが......」
と言って、自分の目で目で彼女を指す。
そこには、座りながら、険しい顔のままじっと静止しているサナの姿が。
「え、あれ......?」
アリアスもその異変に気付いたのか、途端に固まった。
NO.1のサナ・アストル。
普段の彼女ならふわふわとした性格で、近寄りやすい雰囲気を出している。
だが戦闘になると一変し、冷酷な殺戮兵器へ変貌するというギャップも持ち合わせている。
今の彼女は、まさにその「殺戮兵器」のような状態だ。
「確かに......何で?」
「いや、それは分からないけど....多分何かの因縁?」
「え、アマツとアリアス、何をそんなに話しているのですか?」
2人の間に琳が割って入ってきた。
空気が読めないリンにこのことを放したらロクなことにならないと、
「いや、なんでもない」
とハモリ気味に琳に対して放つ。
ちょうどその時、一人、会議室に入ってきた。
会長の、月詠寿之。
「時間だ、会議を始める」
と彼が一言いうと、所々話し声が聞こえてたのが途端に静まり返った。
アリアスの椅子の後ろにいた琳はさっさと自分の席に戻る。
アマツも、まさかディフェンサーズの会長が直々に登場するとまでは思ってもなく、少し驚く。
それほど重大なことだということが分かる。
「......諸君も分かっているだろうが、4日前、東京の各所でエネミーの襲撃が同時多発的に起こり、ディフェンサーズも大きな被害を受けた。最大の損失は、23区の地下シェルターに向かったミカ・レヴレリッジの失踪......だが彼らが送ってきたこの手紙によると、彼女は「アービター」なる組織に現在捕虜となっているらしい」
(アービター......!)
その名前を聞いてアマツが思い出したのは、セントというエネミーが放ったあの言葉。
彼女はあの組織に連れ去られたという。
昇格したばかりとはいえ、あのNo.2を打ち負かすとは、相当強力な組織に違いない。
寿之が調節説明するのも納得できた。
「今から概要を説明するが......その前に、今回はゲストを呼んでいる。ミカ・レヴェリッジの義妹、メアリー・エドモンドだ」
と寿之が名前を紹介すると、寿之がさっき通ったばかりの扉が開いた。
黒髪のショートで、服装はミカのよりもスカートの丈が短いドレスに近い姿である。
「メアリー・エドモンド......お姉様を助けに来た」
そう言い放った彼女の顔は、キリッとしている。
正しく姉を救いに行くという決意で固まっていた。
ディフェンサーズに入っていない、外部の人間が入ってきたのはアマツは予想外だった。
「......という訳だ。なら、改めて作戦概要を説明させてもらう」
寿之はそう言って、『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます