第四話 セミナーの講師はナンバーズ
二次試験が終わり、アマツとアリアスは合格者セミナーの場所へ向かっていた。
「合格者セミナーは、ディフェンサーズの内容等を話すセミナーなのよ」
アリアスは自分の左腕を持ったままそう言った。
「そうなのか、じゃあ長くかかりそうだな。疲れたから早く帰りたいんだけどな......あ、そう言えばアリアス、始まる前緊張していたのか?」
「え、してないけど、何で?」
「いや、一回俺のほうに振り向いたけどまたロボットのほうに向いたからさ。」
「ああ、あの時ね。あれは緊張してたんじゃなくて、ロボットを観察してたの」
「観察?」
「うん。あのロボットを観察して、どんな能力かどんな攻撃をしてくるのかを予想してたのよ」
「その効果はあったのか?」
「わからない。まあただの気分の問題ね」
と、『ディフェンサーズ合格者セミナー』と書かれた看板があった。
「あ、ここのようだな」
とアマツが言うと、一人のスタッフと見られる人物が駆け寄ってきた。
「あの、アマツ様とアリアス様は、別の部屋が用意されていますので、案内致します」
「?」
アマツとアリアスは少し疑問に思いつつも、そのスタッフについて行った。
暫く歩いていると、『ディフェンサーズ上級合格者セミナー』と書かれた部屋に着いた。
「こちらがあなた達の部屋になります」
「そうか、ありがとう」
アマツ達がその部屋に入ると、教卓の所に女が一人いた。
白髪で、両手には包帯を巻いており、腰は黒いジャージで縛ってある。
「やあ、よく来たね」
女はニヤっと笑った。
アマツは何とも思わなかったが、アリアスは何かか恐ろしいものを見たかのように固まった。
「あ、あなたってもしかして......ナンバーズのサラさん!?」
「その通り! 私はサラ・マルベール。ナンバーズのNo.14だ」
「すごい......初めて生でナンバーズ見れた......!」
ナンバーズとは、一発の戦士より遥かに強力な能力があると認められた戦士に与えられるNo.がついている人達である。
ナンバーズは現在17名おり、彼女はそのうちのNo.14だ。
「アリアス、確かにナンバーズはすごいが、そこまで興奮するか......?」
「そりゃするよ! 滅多に見れないんだから!それにこの人は私の憧れの人なのよ!」
あのクールだったアリアスはどこへやら。
彼女は子供みたいに目をかがやかせていた。
「あはは、そんなに喜んでもらえるなんて思ってなったよ。さあさあ、座って」
そうして俺達は座った。
「さてと、まずは合格おめでとう!」
「で、何で俺らだけここの部屋なんだ? ......ていてっ!」
アリアスがアマツの太ももをつねった。
「こらっ、敬語を使え!」
「いや、そこまでしなくてもいいよ」
サラは苦笑いをした。
「何で君たちがこの部屋なのか、それはあのロボットを倒したからだよ。」
「あのロボットって、千手観音見たいなロボットか?」
「そうそう。いやー、協力したとはいえあれを倒すとはねぇ、さすがにびっくりしたよ」
サラはアマツ達に感心するような言い方をした。
「それで、ここに連れてきたということは何か私達に特別な待遇があるんですか?」
「そうだよ。まず説明しないといけないのは、このディフエンサーズの構成についてだ。少し長くなるけど、いいかな?」
「はい!」
「うん」
アリアスは真剣な声で、アマツは少しやる気の無さそうな声で、それぞれ答えた。
「オーケーオーケー、じゃあ説明するね。ディフェンサーズは、主に下級戦士と上級戦士、そしてナンバーズに分けられる。知ってると思うけど、エネミーというのはレベルで1~6に分けられていているんだ。そして、そのレベルに合わせて戦士は出動するか判断するんだ。目安としては下級戦士は1~2、上級戦士は3~4以下、ナンバーズは全レベルが目安ね。さっき君達にやってもらったロボットは、第一波、及び第二波はレベル1、第三波はレベル2のエネミーの強さに合わせてるんだ。そして第四波はレベル3~4のエネミーの強さに合わせて作られたんだけど、君達はそれを破った。つまり、君達は上級戦士の強さに当たると言うことだ。」
サラは一呼吸おいてこう言った。
「で、私が言いたいのは、君達はこの試験において上級戦士になる資格を得たんだ。そしてこのセミナーは、その上級戦士になる資格を得た人たちのためのセミナーなんだ」
「う~ん、いまいちピンとこないなあ......?」
「下級戦士は現在約1500人、上級戦士は約150人。君たちは10人に一人の人材というわけなんだ。誇ってもいいんだよ」
「あー、そういわれると確かにすごいかも......」
すると、アリアスはアマツを睨んだ。
「あんたさっきから態度でかいわね......! もうちょっと敬ったらどう?!?」
「い、いやそんな怒ることはねえだろ?」
サラは再び苦笑いをした。
「君達ほんとに仲良しだね。ところで、このエネミーを倒したのはどっち?」
こういってサラは、ある写真を出した。
その写真は、アマツが倒したあのエネミーだ。
「あ、それ俺が倒した......倒しました」
アマツはアリアスの視線に気づき、敬語に直した。
「おお、君か。やっぱりね。君とアリアスのどっちかと思ったよ。なるほど、あのロボットを倒すわけだ」
「あ、ありがとうございます!」
「いやー、今回は大豊作だったね。このセミナーは開かれることのほうがすくなかいのに、まさか二人も期待の新人が出てくるなんて思ってなかったよ。ちなみに、明日から仕事できるから、活躍期待してるね!」
「はい!」
二人は同時に返事をした。
「よっしゃ、帰るか!」
そして、二人が去ろうとしたとき、
「あ、ちょっと待って! 言い忘れたことがあったわ」
サラが二人を止めた。
「なんですか?」
「そういえばもう一つスペシャル特典があるんだった」
「?」
「明日、М村の渓流に来てくれない?君たちの実力を確かめてあげる」
「え、それって......」
「そう、私と戦うのよ!」
二人は同時に驚いた
「ええええええええええええ!?!?」
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