1日目 夜 帰り道

 すごく有意義な時間だった。


 帰り道、俺はあの小さな図書館で読書をしていた時の事を思い出しながら歩いていた。


 まさか俺の好きな三好達治、萩原朔太郎、中原中也の初版を持ってくるとは。センスあるなアイツ。


 また来てもいいか? と聞いたら「いつでもいいわよ」って言っていたからな。また行ってみるか。


 行く事で湊都を見守る事もできるしな。


「……」


 暗い帰り道を歩きながら俺は湊都が死んだ時の話を思い出した。ニュースと村での噂で得た情報なのでどこまでが本当なのかわからないが。


 湊都の死体は屋敷で発見され、第一発見者は使用人だったそうだ。


 使用人はすぐに警察と救急車を呼び、湊都は病院に運ばれたが死亡が確認された。


 確認後、葬儀屋の人が病院にやって来て車で葬儀場へ運ばれて行った。ところが親族が葬儀場でいつまで待っていても来ないので探し行くと、車を運転していた葬儀屋の男が道端で殺されているのを発見した。


しかし湊都を乗せた車は無く、どこを探してもいなかった。それから湊都の遺体と車を見た者はいない。


俺がいた時代でも警察と湊家が血眼になって探しているが未だに見つかっていない。なので湊都の死因は不明だ。


一体誰の仕業なのかもわからない。そして死んだ湊都を連れ去った理由も。


さらには湊都を殺害した犯人もわかっていないのだ。なのでこの事件は『村が始まって以来最大の未解決事件』として全国的に報じられた。


 それまで知名度が低かったこの村も全国的に知れ渡った事件なので全国に衝撃を与えた事件だ。


 その事件から2年経っても村ではあの事件が忘れられておらず、恐れをなして引っ越して行った一家もいるらしい。


「……」


 湊都、次はお前を殺させはしない。


 もっとお前と文学を語りたいしな。

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