1日目 昼 図書室にて
昼休みになり俺は鞄に入っていた本を返しに図書室に行った。
いつ借りたのかは忘れたが、もう読んだ本なので返しておくことにした。
俺は小さい頃から本を読むのが好きだ。周りの同級生達はスポーツとか体を動かして遊ぶのが好きな奴らが多いが俺はあまり好きじゃなかった。
なので小学生の頃からよく小説を読んでいた。おかげで今はラノベの他にも純文学も読んでいる。
図書室に入ると5人くらいの人がいた。
少ないと思うかもしれないが、この高校は「1学年に約10人しかない」という超がつく過疎の高校なので少なくはない。
俺は本の貸し出しカードの返却日の日付のところに今日の日付を書いて本の中に入れて本棚に向かった。
この本は純文学の本なので純文学が置いてある本棚に向かって行った。
確かこの辺だった気がする……。本を本棚に戻そうとした。
「あら? 貴方だったの、それ借りてたの?」
「!?」
後ろから声を掛けられた。
この声は久しぶりに聞いた。実に二年振りに。
俺は恐る恐る振り向いた。
「それ借りたいから頂戴」
そこには黒髪の細いツインテールの女子生徒……2年前に殺された女子生徒、
「アンタ同じクラスの確か……古刀音、だったわよね」
「そうだけど」
「それ、私も借りたいから頂戴」
手に持っている本を湊都に渡した。
「アンタ武者好きなの?」
「え? いや、武者小路の本は初めて借りたけど」
思えばこれ以来借りて読んでいない。
「へぇ~。じゃあ純文学は?」
「好きだけど」
「……」
なんだ? いきなり黙って。
「私も好きなの。純文学」
「そうか」
知っているけど。
「アンタ、気に入ったわ。私とこれから純文学について語り合いましょ」
「いいけど」
「……意外とあっさり答えるのね」
「そうか?」
ま、当然だ。台詞とか細かい所は忘れたがこんな感じで湊都と仲良くなった。
コイツを助けるには仲良くしてそばにいやすくしないとな。
「ふふっ」
「どうした?」
こんな事は無かった気がする。何で笑ったんだ?
「な、何でもない! そうそう。今日の放課後ここに来なさい!」
「わ、わかったよ」
こいつの命令口調、久しぶりに聞いたな。懐かしい。
「そろそろ昼休みが終わるわ。一緒に帰らない?」
「いいけど」
俺と湊都は一緒に図書室を出て教室に向かった。
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