第6話悪戯に弄ぶ

「……何がすぐたどり着けるよ……全然着かないじゃない!」

「あれ……?おかしいな……」

 目的地に着いたと思ったが、どうにも地図と今いる場所の道が合わない。

「もしかして聡志って方向音痴?」

「いやそんなことないはずなんだけど……」

 普通の地図なら景色などでだいたいの場所がわかるが、下水道は景色がどこも変わらない。それが道を誤ってしまった原因だろう。

「とりあえずどこら辺にいるか確認してくるよ」

 少しめんどくさそうな顔をして日花里はふわふわと浮かび上がり、ちょうど頭上にあったマンホールの上をすり抜けていった。そしてすぐに天井から生えてくるように戻ってくる。

 ……結果を早く聞きたかったがその前に日花里に注意しなきゃならないことがある。

「……日花里、女の子なんだからその、脚とか気をつけろよ」

 俺のところまで下りてきた日花里は何を言われているのかわからないという顔をしている。

「だからさ、何も考えずに浮いてったらさ……制服なんだからスカートの中が見えるだろ」

「……あぁ!」

 指摘されてようやく気付いたようだが少しも恥ずかしがる様子はない。

「たぶん恥ずかしいとかっていう感情って性欲に関係してると思うんだよね。でも幽霊になってから食欲とか睡眠欲とか性欲……三大欲求って言うんだっけ?それが今のわたしにはないんだよ。だから裸とか見られても全然恥ずかしくないよ」

「お前が気にしなくても俺が気にするんだよ……」

 よくふわふわ浮いていてスカートも短いからけっこう白いパンツが俺の目の中に入ってくる。普段だったら眼福と思っているが、今は状況が状況だ。変な感情を抱いている場合じゃない。

 俺の顔を見て何かを察したのか、日花里はニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべると、自分のスカートの両端を掴んだ。

「もしかして聡志くん、わたしのパンツ見たいの?」

 持ち上げられたスカートは中身が見えるか見えないかの位置にちょうど止められており、俺は思わず目を逸らしてしまう。……嘘です、逸らしてはいるけどチラチラと見てしまっています。

「別に見せてもいいんだよ?聡志には協力してもらってるし、これくらいの見返りはほしいよね?」

 さらにスカートを持ち上げようとする日花里。

「っ……!ところで、上はどうなってた!?ちゃんと目的地に着いてたか!?」

「あ、忘れてた」

 話題を逸らすとすぐに日花里の意識も逸れてスカートを離した。

 ふぅ。危ない危ない。もし無実だということがわかったとしても、中学生のパンツを見せてもらってがんばっていただなんて両親に合わせる顔がない。

 ……もう少しだけ黙っていればよかったかな……。

「もちろん全然目的地とは合ってなかったよ!」

 俺をいじって満足したのかすごい笑顔の日花里。

「でもそう悪い結果にはなってないよ。むしろ道に迷ってよかったかも」

「どういうことだ?」

「この上にいるよ。標的の璃咲愛菜ちゃんが」

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