第1話

私がまだ小学生だったときのこと。


夏休みに仲の良い友達数名に近所の裏山に秘密基地を作ろうと提案した。彼らは快く承諾してくれた。


夏休み前に私たちは基地をどこに建てるか決めるために下見に出かけた。



昔からその山は、小さな子供が行方不明になったとか、バラバラ殺人事件があったとか、噂の絶えないところであった。 が、小学生の私達にはそんなこと知る由もなく山へと入っていった。



山に入って十分ほどたった頃、私達は頃合いの良い竹藪を見つけ、そこを秘密基地とすることにした。



翌日基地を快適な空間にしようと各家庭からブルーシートや紐を持ち寄り簡単なテントのようなものをつくった。。


その後二週間くらいは秘密基地を集会所として使っていた。







ある昼下がり、私はいつも通り秘密基地へと向かった。




秘密基地に着いたとき異変を感じた。

大きなビニール袋が1つ竹に縛り付けてありました。中身はよく分からなかったが、タオルのようなものが丸めてあるようだった。

私は友達に「これは何だ?」と尋ねましたが皆「知らない」の一言だった。







疑問はあったが夕方になったので私達はビニール袋を残して山を降りた。



その後数日はビニール袋を気にすることなく過ごしていたが、私は漂う異臭で変化に気付いた。ビニール袋の中のタオルから茶色と黒ずんだ赤い汁が染み出ていることに。


当時の私はそれを犬のフンをタオルで包みビニール袋で縛り棄てたものと断定し自己完結してしまった。


夏休みも折り返した頃になっても私達は基地を使っていた。









ある時1人の友達が山中に用を足すため基地を出た。




しかし暫くしても彼は帰ってこなかった。



心配した私達は彼を探しに基地を出て、用を足すのに薮がありそうな山頂の方へと向かった。





登り始めてから暫くすると私達は竹に縛られた大量のビニール袋を見つけた。 その数は20~30個





…やはり中身は汚れたタオルのようだった。





さすがに皆気味悪がって「帰ろうよ」と言ったが、こんなところに彼を置いてはいけない。




山登りを再開しようとしたそのとき…









『うわぁああああああああああ』







と叫びながら駆け下りてくる彼が見えた。



彼の無事に安心したが、様子がおかしい。







「あああぁぁぁああああ!!」








走ってくる彼の後方には鉈をもった老人が鬼の形相で追いかけてきていた。




皆パニックに陥り、無我夢中で山を下った。





気付いたときにはあの老人の姿は消えていた。









以降私はあの山には近付いていない。


老人に追いかけられた彼の話では、



用を足そうと山の奥へと向かった。



用を足し、帰ろうと思ったが近くで人の気配を感じた。


その方向に向かうと老人が



'何か大きな生き物の肉"



を解体していたらしい。











あの袋の'中身"はなんだったのか

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@akane1919

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