第9話
二人の子供との出会いは俺が最近魔物が我々を襲うという街道に見回りに来ていたことから始まった。
「貴様ら!何故この道にいる!この道は魔のものが多く現れるため一般人は通行禁止のはずだ」
そういってから後悔した。その二人の子供はまだまだ幼く我々に怯えてもしょうがない。しかしその子供の片割れが
「自分達、お母さんに言われてお買い物をしに行ったんですけどなんか気がついたらここ居た
ここはどこ?」
「捨てられたのか…
ここはカリファだ。お前たちはどこから来たんだ?」
まさか!まさか!ここがどこかすら知らないとは!
このカリファ、またの名を魔界では子供はとても貴重で捨て子などいない。その上、皆魔王城に仕官させるために最高の教育を受けさせる。カリファの隣国のサリルでは子供が奴隷として売り買いされ、悲惨な目にあっていることも少なくないらしい。
「ジパングから来た」
「ジパング…聞いたことのない国だな
私はお前たちを訓練生として保護する。異論はあるか?」
そこまで考えた時に子供から『ジパング』からきたといわれた。『ジパング』とは物語に出てくるからくりの国だ。まぁ聞いたことのないふりをして、保護しよう。幸い俺は騎士団長だから騎士団の見習いということにしたらいいだろう。
「ない
ゆうちゃんは?」
「ないです」
「では門で待っていると言いたいところだがここらへんは危険だ。使いたくはなかったが移動魔法を使おうと思う」
「しかし!隊長‼」
さっきまで一言も話さなかった部下が言った。
「どちらにしても、ここにいる人間は保護しなくてはならない。才能がなかったら御貴族様にでも押し付ければいいさ」
そういい、移動の術式を唱える。
そうするとすぐに騎士団の練習場についた。子供は興味深そうに辺りを見回している。
「ここはどこですか?」
「ここかぁ、ここはな、王城の騎士の訓練施設だ。
ところで、お前らの名前はなんだ?」
「すず」
「ゆうです」
「苗字は…ないか。
じゃあすずとゆうの能力値を見に行こう」
「わかった」
ここまできてやっと二人の特徴がつかめてきた。すず以外にたいして丁寧にはなすのがゆう、ゆう以外にたいしてぶっきらぼうに話すのがすず。そう見ると分かりやすい。
そんなことを考えながら魔術師長の部屋にむかって歩いているとやっとたどり着いた。この城は広すぎる。
軽くドアをノックするといつものように
「うるさいなぁ!準備はできているよ!」
「失礼します」
そういうゆうを傍目に見ながら、フィンターの汚い部屋に入る。
「さぁ、君たち手をこの魔法ガラスの上に!」
いつも通り大袈裟な態度に少しいらっとしながら目で示す。
「すうちゃん、どっちからやる?」
「じゃあ先にやってもいい?」
「わかった!気を付けてね!」
「気を付けようがないよ?」
「言葉の綾」
「わかっとる」
この二人はかなり仲がいいようで二人で話すときだけ口調が代わり道化のような言葉遣いになる
「お前ら!そこでこそこそ話していないで早くやらないか!」
「短期は損気」
せかしたところそういわれふざけ半分にチョップをかます。するとすずは何事もなかったかのようにするりとすり抜け魔ガラスに近づく。チョップを避けられたことに愕然としてしまう。相当訓練をつんだ兵士でなくては避けられないものだからだ。
佐藤鈴 生産職LV 1
魔力 多い
体力 少ない
生命力 簡単には死なない
スキル 材料探しLV 1 避けるLV 1new
属性 炎 緑 土
スキルポイント 1000
属性ポイント 100
「生産職か、しかし避けるというスキルがあるということは訓練に出れそうだな
次」
内心驚きながらいう
大熊優 剣士LV 1
魔力 多い
体力 かなり多い
生命力 普通
スキル 剣術LV1
属性 光 風
スキルポイント 1000
属性ポイント 100
光属性は珍しい。そうおもったのだがフィンターは剣士であることを誉める。
「剣士か!これはいい拾い物をしたじゃないか」
「じゃあ部屋に案内するぞ明日は六時からだからな」
「わかりました。ご飯はどうしたらいいですか?」
「あー、とりあえず金やるから買ってこい」
「道がわからない」
「一人新米つけるからよ
財布ってわかるか?まぁ知らなくてもしょうがないんだが」
「財布持ってるよ。けど知らない種類の金が入ってた」
「だせ、見せてみろ」
「ん」
渡された財布を見てまず見た目に息を飲んだ。すずが持っていたのは革の財布。しかし貴重なドラゴンの小さな部位からしかとれないもの。ゆうの財布は貴重な鉱石をふんだんに使ったものだからだ。
中身にはもっと驚かされた。
二人会わせて40000ルッツをもっているなんて考えてもいなかった。
「…なんでこんなガキが大金持ってるのかは聞かないでおいてやる
だが、大切にしまっておけ」
いつ必要になるかわからないからな。
「ゆうちゃんお腹すいたね」
「すうちゃん何が食べたい?」
「鶏肉が食べたい!ゆうちゃんは?」
「パンが食べたいかなぁ」
「なんか言ってないではやくついてこい。」
「わかりました」
「はーい」
そして新人のマスカルに面倒をみるようにいう。
「マスカル!こいつらに飯を食わして来い。ついでにギルドに登録させてきてくれ」
「わかりました!団長‼」
「金はこの中から使え」
「はい‼」
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