第8話 休日の母日記
生活のためにバイトをしながら食いつなぐ。
視力はずいぶん回復したが、身体は、まだまだ本調子ではない。
それでも我慢して長時間労働に耐える。
休みの日は、ほぼ終日寝ている。
そんなある日、母の遺品を見つけた。
若き日の母の思いが綴られていた。
酒乱の父親が、夜中に帰宅。
家にあった日本刀で、何と、家の畳を試し切り!
自分は、まだほんの2.3歳くらいだと思うが
そういえばそんな恐怖の夜が何度もあった。
枕元の母が大事にしていた洋風スタンド。
斜めに袈裟切りされていたのを
朝目覚めて見た時のショック!
マグロ漁船の船主で一時は、儲けたらしいが
連帯保証人にひっかかり、倒産した。
荒れまくって母と自分を虐待し
母に暴行する父親。
地獄の回想を途中でやめて
あらためて、地獄の1丁目を思い出す。
あそこには父親はいなかった。
もしかしてどこかに潜んでいたやも知れぬが
少なくとも再会は出来なかった。
不遇の死を遂げた母親の復讐のためにも
もう一度会わねば自分は、未来永劫救われぬ。
・・・・今度おうたら、ぶっ殺してやる!!
そんな事を考えずに、正道を歩め、人を恨むなと
愛読している本にも多くの成功記事が掲載されている。
何とか成功したいと、若い頃から長年読み続けてきたが
事、父親に関してはマイナスの感情が治まらない。
母の日記は、読むべきでなかったな・・・。
お金も無くて、酒乱の夫に翻弄されて
自分のような乳飲み子を抱えて
大阪の街で途方にくれる母の心細さが
今になって身に沁みる。
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