第6話 海岸漂着

冷たい海水が両足を浸す。

波の打ち寄せるのが聞こえる。


・・・おおーっ!足が!!足がちゃんとある!!

おおーっ!目も見える!


何と目の前の砂浜には自分の杖もある!!


おおーっ!俺は生き返った!!

何と、 何と! 生き返ったぞ!!


 安心しきった心と身体は、そのまま無意識の世界へ

引きずり込まれそうになる。


 犬の吠えるのが聞こえる。

でかそうな犬の声が遠くに聞こえる。


麦藁帽に長靴姿の若者が、片手に犬の綱、

もう一方にスコップを持って覗き込んでいる。


「・・・・大丈夫ですか?」

「・・・・・・・」

「救急車呼びましょうか?」


ウワン!ウワン!!ウーーーッ!!


白い大きな犬が思い切り吠え掛かってくる。


「呼びますね。すぐ呼びますね」

「。。。。。。」


 意識が遠のいた。

杖!杖!!俺の杖!!・・・・・・・。



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