二人を繋ぐ
ジェイソンが目を覚ました事で歓喜に包まれた病室。
「っあ、そうだ…飯どうする?」
不意に、チャドが皆を見渡して尋ねた。
「…確実なのは病室で飯食うのは却下だな、ジェイソンが可哀想だからな」
ジークが少し目を伏せた。
「食べに行きましょうか…余り匂いがつかない食べ物をね」
マーサがジークとチャドの肩を叩き、笑った。
「そうね…行きましょ!」
テイラーがマーサに笑顔を向け、皆と共に出ていった。
え、私?私は…お腹空いてないから、行かなかったの。
静かな病室にジェイソンと私。
微妙な空気が流れているのが、傍目でも充分わかる。
「…ジェイソン」
言わなきゃ、後悔する。
その思いに突き動かされた瞬間、言葉を声に出していた。
「ん?」
ジェイソンは不思議そうな表情で。
「…あんな、酷いこと…言って、ごめんなさい…」
心臓がおかしなほど脈動し、息が苦しくなる。
「私、貴方に許してもらえるだなんて…思っていないわ…」
首が締まるような感覚に陥りながら、何とか話す。
すると、私の思いに反するように…ジェイソンは悲しげな笑顔を浮かべた。
「謝るのは…許して貰えないのは…僕の方だよ、ケルシー…」
「約束破って、大怪我して…君を悲しませてばかりで…」
「僕の方こそ、謝らなきゃ…ごめんね、ケルシー…」
「僕も…君に許して貰えるとは、思ってないよ」
そう話したと同時に、ジェイソンは一筋の涙を零した。
その姿を見た私は、涙が止まらなくなって…嗚咽するほど泣いて。
しばらくして落ち着いてから、ゆっくり話し出す。
「ジェイソン、私ね…貴方が好きなの…そして、愛してるの」
「私の…この感情は、この想いは…貴方以外の男性には抱けないの」
「私にとって、貴方が全てよ」
そこまで言うと、私の顔はトマト顔負けの赤さになっていて。
ジェイソンは照れくさそうにはにかんで。
「僕だって同じさ、ケルシー」
「僕のこの感情や想いは…他の女性には抱けない」
「僕にとって、君が全てなんだ」
言い終えたジェイソンは、私に負けないぐらい赤くなっていた。
2人で色々と話して居ると、ジェイソンが思い出したように話し出した。
「ねえ、ケルシー…僕の鞄ある?」
ジェイソンの鞄はずっとベッド脇にあるかごに入れられていたので、それを取って戻る。
「鞄の中にさ…プレゼントの箱、入ってるはずなんだけど…」
ジェイソンは身体を動かせないから、失礼して鞄の中を見ると、男の子ならではのちょっと汚い感じだった。
鞄の奥の方を見ると、確かにプレゼントの箱があったので、取り出した。
「それさ、ケルシーへの誕生日プレゼントだよ…1週間、過ぎちゃったけど」
しょんぼりするジェイソンを尻目に、私は嬉しさで顔を綻ばせた。
「ねぇ、プレゼント…開けても良い!?」
私が笑顔で尋ねれば、ジェイソンは笑って頷いた。
私はさっそくプレゼントのラッピングを綺麗に開き、箱を開けた。
中には、十字架のネックレスが入っていた。
「僕、女性物って良くわかんなくて…お揃いのネックレスにしちゃったんだけど…嫌じゃない?」
ジェイソンはそわそわしながら私に尋ねる。
お揃いなんて、嬉しくない訳がなくて。
「ううん、全然嫌じゃないわ…むしろお揃いだなんて、凄く嬉しいわ!」
私はさっそくネックレスをつける。
「ケルシー、ネックレス…とっても良く似合うよ!」
ジェイソンは楽しそうに笑って。
そのまま色々話していたら、テイラー達が帰ってきた。
遅かったのは何を食べるかでこれでもか、ってぐらい大揉めに揉めたからなんだとか。
ジェイソンはその話を聞きながら凄く大笑いしてて。
私はというと、テイラーとマーサとシャーペイにネックレスの事を根掘り葉掘り、これでもかってぐらい聞かれていた。
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