貴方は私の全て


それから4日が過ぎても、ジェイソンの意識は戻る気配が無かった。


静かな病室に、無機質な音が響く。


私は病室に来ると、直ぐにジェイソンの横にある椅子に座った。


この4日の間にも、ジェイソンは幾つか手術を受けた。


1つは2日目に行われた胸元、腕などに残ってしまっていた布片の除去。


2つ目は3日目に胸元や腕と比較して、余り重度ではないが、皮膚が焼けて無くなっていた首元や手の甲などの部分への皮膚移植。

(ジェイソンの背中等から皮膚を持って来て移植したと聞いたわ)


3つ目は、上半身と両腕のⅢ度熱傷部の壊死部分の除去とその後に感染予防の軟膏。

(Ⅲ度熱傷はテイラーから教えて貰ったわ)


そして、今日も午後から感染予防の軟膏を塗るらしい。


ジェイソンの首元や手の甲は、植皮されて火傷の痕が大分わからくなっていた。


その手の甲を見つめながら、指に触れた。


ジェイソンの手は、やっぱり優しくて暖かった。


堪え切れない涙が、溢れては零れた。


「…ジェイソン、ごめんなさい…!」


ただ、謝罪の言葉しか出て来なかった。


「…ごめんなさ、ごめんなさいぃ…!」


どれだけ謝罪しても、ジェイソンが許してくれるとは思わない。


でも、謝らなければ…後悔しか残らない。


今も後悔しかしていないけれど、もっともっと後悔するから。


「私が…私が、あんな…酷い事、言ったから…ジェイソンは…!」


あの日の記憶は、ジェイソンが大火傷してから…これ以上ない、悪夢になった。


毎日の様に夢に出て、毎回…私は動悸と息苦しさ、酷い汗、涙で目を覚ました。


「…ジェイソン」


何とか涙が落ち着いた私は、ジェイソンの頬に手を触れた。


「…私、謝っても許して貰えるなんて思ってないわ」


「こんな事言う資格なんて、無いのはわかってる」


落ち着いた筈の涙が、また溢れだした。


「でもね、ジェイソン…私、やっぱり貴方が大好きで…愛してるの」


零れ落ちた涙は、ジェイソンの髪に落ちた。


「貴方以外に、私が好きになる男性なんていないわ」


「貴方以外に、私が心から愛せる男性はいないの」


「貴方以上の男性なんて、私には見つけられない」


ジェイソンの頬に触れている手が、泣いている所為で震えてくる。


「私にとって、貴方が全てなの」


「だから、だからお願い…私の側に戻って来て…早く、目を覚ましてよ…!」




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