現実になった言葉


ようやく、何とか落ち着いてきた頃、突然に携帯が鳴り始めた。


携帯を見れば、“マーサ”と表示されていて。


私は慌てて電話に出た。


「もしもし、マーサ?」


私が震えそうになる声を抑えて話せば、マーサの焦り声が聞こえた。


『あぁ、ケルシー!良かった!大変なのよ!ジェイソンが!』


次から次、矢継ぎ早に言葉を繋ぐマーサは、珍しく酷く動揺しているのがわかる。


『ジェイソンが、大怪我したのよ!今病院なんだけど、まだジェイソンの意識が戻らないのよ!』


色々と話が飛んでいるけれど、緊急事態なのだけはハッキリわかった。


「そう、なの」


それしか言えなかった。


私が、あんな事言ったから…ジェイソンは生死の境を彷徨ってしまった。


そればかりが頭をぐるぐると巡っていた。


『とにかく病院に早く来て、ケルシー!』


マーサは知らないんだろうか、私がジェイソンと喧嘩してしまった事を。


「でも、私…ジェイソンと、喧嘩したし…あんな事言っちゃったし…行けるわけ無いじゃない…」


目に涙が溢れて来て、必死に抑えようとした。


でも、抑えられる訳もなく…涙は溢れて零れ落ちた。


『喧嘩!?そういえば、ジェイソン…今日、落ち込んでたわね…じゃなくて!そんなこと関係ないわ、ケルシー』


『ジェイソンにはケルシー、あなたが必要なのよ!』


マーサの言葉に、溢れる涙は量を増して。


『だから…早く来てあげて、ケルシー』


マーサはそう言うと電話を切った。


私は携帯を鞄に押し込んで、コートと鞄を掴んで、靴を履いて家を飛び出した。


病院までの道を歩きながら、ずっと涙を拭いながら考えた。


ジェイソンが大怪我で意識不明。


それは、私が思っている以上にショックだった。


それほどに、私はジェイソンを愛している。


ジェイソンは、私にとって…唯一無二の存在であり、全てなんだ、って理解した。


そこから、私は病院までの残りを走り、病院に飛び込む。


そのままナースさんに病室を聞き、また走って病室に飛び込んだ。


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