貴方に会える日は

11月中旬、やっと学校を終えて帰宅。


色々片付けたり、ご飯にお風呂にとバタバタ済ませ、部屋に戻る。


「ふー、やっとひと段落ついた…かな」


タオルで髪を乾かしながら、ぼんやりと明日の授業や作詞の事なんかを考えていた。


その時、携帯が鳴った。


私はタオルを放ったらかして携帯を取って、電話に出る。


電話に出たのは、大好きなジェイソンだった。


『やあ、ケルシー…元気?』


彼は、少し疲れたような声だった。


「私は元気よ、ジェイソンはどう?」


そう返すと、ジェイソンは楽しそうに答えて。


『元気だよ、ウェイターは忙しいけど楽しいからね』


その言葉に、少し安心した。


「マーサは元気にしてる?ワイルドキャッツの仲間達も!」


ジェイソンが就職したラヴァースプリングスカントリークラブには、ジェイソン以外にマーサやワイルドキャッツの何人かが就職している。


『うん、元気だよ!皆、卒業しても全く変わらないよ!』


その声はとても楽しそうで、私はつられて笑顔になった。


「そっか、何だか安心したわ…あ、ライアンも変わらず元気よ!」


同じジュリアード音楽院に入学したライアンの事も話しておくと、ジェイソンはケラケラ笑った。


『そっか、僕も安心したよ!…そうだ、ケルシーは今月いつが空いてる?僕は…22、23、24のどれかなら休み取れそうなんだ』


ジェイソンの言葉を聞いた私は、慌てて手帳を取り出して日程を確認した。


23日だけ、空白。


そう、久々な完全休みの日だった。


「予定を確認したんだけど…23日なら空いてるわ」


私がそう告げると、ジェイソンは嬉しそうに笑った。


『じゃあ、23日に休みを取るから…久々に1日デートしよっか?』


“1日デート”の言葉に、私は嬉しさで顔が綻ぶのを抑えきれなくなって。


「うん、23日がとっても楽しみだわ!」


私がそう言えば、ジェイソンはまた笑って。


『僕も凄く楽しみだよ!23日までお互いに頑張ろうね』


ジェイソンの明るい声と優しい言葉に、ちょっとドキドキしてしまったのは秘密。


「うん、ピアノも作曲も頑張るわ!」


『僕もケルシーに負けないように、ウェイターやらキャディやら頑張るよ!』


そう言って、2人で笑いあった。


『…じゃあ、まだ名残惜しいけど…明日も早いから、そろそろ電話を切るね』


ジェイソンは静かにそう言った。


「そうね…まだ話したいけど…おやすみなさい、ジェイソン」


『うん…おやすみ、ケルシー…良い夢を』


その言葉を言い終わって少しして、電話が切れた。


私は携帯をベッドに投げて、散らかしたまんまの机を片付け、時計を見た。


既に10時を回り始めて居たから、歯磨きをしてからベッドに潜り込んだ。


そして、携帯を握りしめたまま…私は深い眠りについた。


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