第3話 追憶2

ピッ、ピッ。

機械的な音が聞こえる。

口の中になにか入ってる。それが鬱陶しいし、苦しい。取ろうとするが手が動かない。


ここはどこだ。


曖昧な意識が鮮明に戻ってくる。


そうか、車に突っ込まれて、彼女を突き飛ばしたまでは良かったけどぼくは避けられなかったんだ。


彼女を守れただけで良しとしよう。


そうこの時は思った。


しかし、戻ってきたのは意識だけではなく、痛みも苦しさも急激にはっきりして来た。


うぅぅ‥。


小さな呻きに看護師らしき、白衣の女性が顔を覗き込む。


『佐藤さん、佐藤タケルさん、分かりますか』


分かるから、分かってるから助けてくれ。


『当直の先生呼んでー、佐藤さん意識が戻ったと伝えて』


そうか…いまは夜なのか。

だから、お腹空いてるし、なんだか寒いのか。


ぼくはまた意識を失った。

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