第2話 追憶1

僕は生まれた時はひとりだった。

そこそこに不自由なく、平凡な毎日を暮らしていた。女性ともそこそこ付き合いをしていたし、別れも経験していた。

いま、思えば平均のようなプラスマイナス0のような人生を送っていた。


しかし、25歳の時に僕の身体は二つになった。

あの日、僕は彼女とデートをしていた。デートと言っても、仕事帰りに合流をして夕飯を食べに行っただけだ。だが、それだけ良かった。

振り続ける雨の中、互いに傘を差しながら歩いて帰路へ向かう。ぼくはこの時間が好きだった。


たわいもない会話。

そこに車は突っ込んできた。


良かった、彼女は平気そうだ。


そう思ったのを覚えている。

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