ケイside
第7話 隆二さんと教室を隔ててのテレパシー会話
『隆二さん、さっきはどうもです!』
『ケイくんか! あれから大丈夫だった?』
『おかげさまで、なんとか無事にやってます。カケルも』
『それは良かった。というか、隣のクラスだったんだね』
『ところで、この学校の先生なんですが』
『ああ、何匹かモンスターがまぎれ込んでいるな』
『やはり掴んでましたか』
『いや、俺じゃなくて、隆一と隆三が調査してくれてる』
『え? 隆一さんも隆三さんもそばにいらっしゃるんですか?』
『ああ、記憶は相変わらず戻らないが』
『おっとそうでした。僕、記憶を失くしたことすら忘れてました』
『おいおい、頼むよ……』
『実は僕は、今いるクラスの担任の塩村麗子が怪しいとにらんでいます』
『え? そうなの?』
『はい。肩にウミウシを乗せていましたが、あれはカモフラージュかと』
『ということは、我々がすでに来ていることがモンスターどもにバレている可能性があるな』
『そうですね。ひょっとすると、罠をはられているかもしれません』
『ところで、俺ら七海雄だけど、ウミウシ属の方は今、一匹いないんだよね?』
『はい、池田ウシオが別次元でデッドアウトし、現在復活待ちです』
『あいつ……また無茶しやがって……』
『せっかく隆二さんが長い間守ってくれていたのに』
『いやいや、誓いを交わし合った仲だから。いずれは俺も世話になるかもしれないし』
『でも復活するまであと千年くらいですよ。長いですよね』
『あれ? 七海雄のもう一匹は誰だっけ?』
『ああ、ナメクジンシーですか。あいつ今、一匹でプラプラしてます』
『ああ、久神かー、しょうがないなー』
『本当にすみません。ウミウシの恥ですよ、あいつは。いい年してクネクネしやがって……』
『いや、ケイくんが謝ることはないんだけどね』
『ところで隆二さんの側でモンスターの情報、何か掴まれていますか?』
『ああそうだ、隆一によると、俺たちの教室の担任のフグタ、副担任のオウガはほぼ間違いなくモンスターらしいんだ。ただ、証拠がない』
『なるほど、では僕のほうでも少し調べてみます』
『ありがとう。京子さんの話によれば、この二体、女性は狙いそうにないらしいけど、それでも気を付けてね。あと、カケルくんはどう?』
『あ、あいつ昨日行き倒れてまして、記憶ないらしいです』
『またか!』
『いつも心配かけてすみません』
『で、今はどうしてるの?』
『僕と一緒に桐子さんの家にお世話になっています』
『そうなんだ。元気にしてる?』
『なんか、成り行きで桐子さんの妹さんと付き合うことになっちゃったんですが、彼女と一緒に某動画サイトにハマっているみたいですよ』
『え? そうなの? 踊ったりするのかな?』
『いや無理ですよ、あいつの身体能力じゃ……。その香織ちゃんって彼女がユーチューバーなんですが、彼女の動画を見てあいつ、バカ笑いしてました』
『なんか……楽しそうで……いいね』
『す、すみません! いつもあんまり役に立ってなくて……』
『いやいや、そんなことないよ。それより、良くしてもらってる? ケイくんの彼女さん、美人じゃない』
『いえいえ、そんな、隆二さんの彼女さんほどじゃないですよ~』
『そんなこと言っちゃだめだよ、彼女たちに対してホストとしての任務を果たすことも俺たちの目的の一つなんだから』
『そうですね。僕も桐子さんに精いっぱい尽くします。ただ……』
『ただ?』
『桐子さんの家、両親がいらっしゃらないんですが、桐子さんの双子の弟がいるんです。ただ、僕は彼のこと、あんまり好きになれないんですよ』
『そうなの?』
『結構ウミウシとか馬鹿にするタイプみたいで……』
『そりゃきついな~』
『愚痴ってすみません。なんていうか、僕、毛髪力なさそうな人をみると、なぜかイライラするんですよね』
『そうか』
『でも、そのうち落ち着くとは思いますけどね』
『まあ、夜の方はあんまりやりすぎないようにね』
『わかってます。隆二さんのほうもお気を付けください』
『うん、わかった!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます