第4話 テンプテーション

 そんなわけで、相も変わらず俺は、裸に靴下だけの姿で右手と右足、左手と左足を縛られ、ベッドの上であおむけに固定されていた。


「というかいい加減、この俺の縄をほどいてくれよ」


 さすがに俺もつらくなってきた、

 ところが、ここにいるみんなの顔がうつろになった。


「波夫、ごめんなさい。まだ説明してなかった」

「え? なにを?」


「エレクチオンの塔がいままで残っている意味なんだけど、七海雄のみんなが異次元に旅立つのであれば、必要だと思ってたの。現代人の中で、他の男たちはいなくなったけれど、あなただけは生かさなければならないと思っていた。だけど……」


「え……どういうこと?」



 そこでメイド服姿の香織が立ち上がって言った。


「もうおにいちゃんに用はないってことよ。死になさい!」


 香織のつめが俺の胸に突き刺さった。



「う……うそ……だろ……」


 薄れゆく意識の中、血を吐きながら、笑顔の香織を見ながら、俺はこれまでずっと彼女の魅力にだまされ続けていたことに気がついた。



 いや、違う



 俺の塔に近い者から、古代人の同化の餌食となっていたのだ……



 そこまで考えて、俺は絶命した





 この俺の魂を継承する者がいることを願いつつ







 こうして人類(男)は滅亡した






 新たな俺の魂の継承者は……







 まだ、みつからない……







 誰か、俺を救ってくれないか……







 誰でもいい……






 救ってくれ……







 そそり立つものを……有していれば、誰でも……いい……から……











 あ…………でも……できれば、イケメンで…………

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