第2話 七海雄
相変わらず俺は裸に靴下だけの姿で右手首と右足首、左手首と左足首を縛られ、ベッドの上であおむけに固定されていた。
もちろんそそり立ったままだ。
そんな俺に磯貝さんは堂々と近づいてきた。
「磯野くんは、元々七海雄のことを知っていたのかしら?」
「いや、全然。さっき夢にその話が出てきただけだ」
『ではその後は私が説明しましょう』
磯貝さんの肩から隆二さんが言った。
『七海雄とは我々、海から陸に上がって来たイソギンチャク属、ウミウシ属の先発隊です。いや、先発隊でした。イソギンチャク属は我々隆一、隆二、隆三の三兄弟』
「あれ? ちょっと待って、クラスの女子のみんなの肩にイソギンチャクくっついていたけどその三人以外は違うの? 七海雄じゃないの?」
『違います。残りはモブです』
「モブなのか……」
『はい、モブです』
「じゃあ残りの四人は?」
すると、ケイさんがメイド服姿の香織の肩から出てきた。
『我々、ウミウシ属の伊豆田カケル、伊豆田ケイ、あと二名のうち一名は別の次元で命を落としています』
「残りの一名は?」
『あなたに打ち取られました』
「は? いつ? ……って、ひょっとして……あのドラッグストアの?」
『はい、彼です』
「いや、ちょっと待って! あれこそどう考えてもモブじゃないか!」
『いえ、彼が最後の1人なんです』
「でも英雄って……弱すぎたんだけど!」
『まあ、七海雄といっても強さには差がありますからね』
カケルさんがしみじみと言った。
「そして、あなたは七海雄を倒すために生まれてきた、継承者なのよ」
「え?」
磯貝さんの言うことがよくわからない……
しかし、この場はさらなる緊張感に包まれた。
「ちょっと待って! 確かに夢には出てきたけど、それ以外俺、何も継承とかしてないし……」
「いいえ、継承しているわ。あなたのその『エレクチオンの塔』がなによりの証拠!」
は? なんだそれ?
「今、あなたがここで私に対して見せつけている、その『そそり立つ塔』のことよ!」
これ、俺がわざわざ見せつけてるわけじゃねーから! そそり立ててるわけじゃねーから! 不可抗力だから!
っていうか、全然意味わかんないんだけど!
そう思った時だった。部屋のドアが開き、真乃実が入ってきた。
「話は聞かせてもらったわ! 人類は滅亡する!!」
「今度はおまえかーっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます