第5話 空想科学における脳科学の位置づけ

 翌日、学校の教室に入ると、私と隠さんのほかに、イソギンチャクを肩に乗せた女子が5人もいた。


 潮崎さん、浦辺さん、天海さん、岸辺さん、潮田さん……みんなカワイイわよね。。。


 でも潮崎さん以外は彼氏いるんじゃなかったっけ? ひょっとして乗り換えた?


 みんな尻軽だなーって、私もほかの人のことは言えないか。。。


 あれ? そう言えば潮崎さんって男性に興味あったかしら? ひょっとしてイソギンチャクにもメスがいるとか?


 さてはみんな、変態だなー? かわいい顔して、はずかしめられるのが好きなのか?


 と、いろいろと責任転嫁をしながら席に座る。


『後発組が来たみたいだ』


(え? 後発組?)


 隆二くんの言葉の意味がわからなかった私は彼に聞いた。

 昨日、通じ合ってしまった私たちは、心の声で会話できるようになっていた。

 距離が離れていても通じるところは、なんだか山田くんと里中くんみたいね。


『最初にここに来たのは隆一と僕で、その適応状況を見て上がって来たらしい』


(ふうん。そうなんだ)


 もちろん私の目には隆二くんしか映らないけれど、あの子たちも一緒なのかな?


 潮崎さん、昨晩は心ゆくまで百合の世界を楽しんだのかしら?

 浦辺さん、昨晩はそのカワイイうなじをペロペロと蹂躙じゅうりんしてもらったのかしら?

 天海さん、昨晩は言葉攻めで昇天させてもらったのかしら?

 岸辺さん、昨晩はその両手両足を拘束されてヒィヒィよろこんでいたのかしら?

 潮田さん、昨晩は中までぐちょぐちょにされて吹いちゃったのかしら?



 などと軽く妄想してみた。




 一時間目が終わり、次の授業の準備に取り掛かっていると、突然とある男子に声をかけられた。


「今話しても大丈夫かな?」


「どうしたの? 磯野くん」


 磯野くん。幸一が密かに憧れていた、あの磯野くんだ。それ以外の情報としては、一年の時に同じクラスだった桐子さんの双子の弟で、隠さんの幼馴染である、という程度しか私の記憶にはない。見た目的にそれなりにカッコよい部類だとは思うけど、やや髪が薄く、頭皮が透けて見えるのが気になる。あと、股間がちょっと……


「ああ、ごめん磯貝さん、ちょっと聞きたいんだけど、山口と別れたって、本当?」


 デリカシーの無い会話をいきなりブッコんできやがった!


「あ、うん……そうだけど……」


「ということは、今フリーなの?」

「え? いや、違うけど……」


 まさか、私と幸一と磯野くんの三角関係に発展?

 私が幸一に突っ込んで、幸一は磯野くんに突っ込まれて――って、ダメじゃん!


「ってことは、すでに相手がいるってことかな?」

「うん。実は、隠さんに紹介してもらって……」


「え? 真乃実に? ああ、そうか、わかった。磯貝さんの彼氏さん、こんにちは、俺は磯野波夫と言います」


「えっ? なんで知って……」


 と私が言いかけた時


『初めまして、磯野さん。私、海野隆二と申します』


 隆二くんが出てきて挨拶した。


「あ、やっぱ海野さんなんですね? ということは隆一さんのご兄弟ですか?」

『そうです。隆一をご存じなんですね。兄から何か聞かれてますか?』


「いえ、実は詳しいことは何も……」

『そうですか』


「なので隆二さんと磯貝さんの都合が良ければ、詳しいことを聞かせていただけませんか?」


「ええっ?」

 

 いったいどういうこと?


「ああ、ごめん磯貝さん、君のことじゃなく、隆一さんについて知っておきたいんだ。というか本当は隆一さんに直接聞くべき話なんだろうけど、俺、隆一さんとは今、気まずくてさ……」


『ああ、そういうことですか。私はかまいませんが、京子、どうかな?』


「え? ええ、そういうことなら私もかまわないわ。放課後付き合うわよ」


 なんて言ってしまったけど、磯野くん、あなた何者?


「ありがとう。では後程」



 そこまで話して磯野くんが去った時、ちょうど次の授業開始のチャイムが鳴った。




 教室移動で廊下に出た時、隣のクラスの桐子さんと目が合った。


「おっ! 京子ちゃん、オッスオッス!」

「こんにちわ! 桐子さん」


 桐子さんの肩にも、やはりイケメンさんがいらっしゃった。だけど隆二くんとは雰囲気がだいぶ違う。確かにかっこいいけど、どことなく暗くてニートっぽいイメージ。


 京子さん、ああいったタイプがいいんだ、と、なんとなくぼんやり見とれていると


『あれは伊豆田くんだね。兄のカケルくんだ』

(あれ? お知り合いなの?)


『うん。僕たちとは種が違うんだけど、仲はいいよ』

(そうなんだ)


 そんな脳内会話をこなしつつ、私と桐子さんは、笑って挨拶して別れた。


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