第14話 ここ数日の出来事

 俺は自分の部屋で桐子(とケイさん)、香織(とカケルさん)から話を聞くことにした。


「真乃実が言うには、男性軍と女性軍との戦いが始まったとか?」

「とっくに終結したわ」


「は?」

「この世の男性、ほとんど残っていないもの。あなただけが残る予定らしいのよ」


「え……」


 それって、究極にホラーなんですが桐子さん。


「というか、なぜ俺だけ残るの? というか、軍ってなんだよ」

「便宜上の定義よ。男性であれば男性軍。女性であれば女性軍なの」


「それは遺伝子的に? それとも心理的に?」

「その質問に答えるとすれば、遺伝子的に」


「ってことは、XY遺伝子を持つ『ヒト』は俺以外残らないってことか?」

「そういうことになるわね」


 俺の質問に即座に答えを返す桐子。こいつこんなにテキパキ話してたっけ?


「っていうか、なんで俺だけが残されるんだ?」

「死ぬよりましでしょ?」


「わたし、おにいちゃんにはまだ死んでほしくないもん!」


 香織が涙ぐむ。


「ごめん、ちょっとよくわかんねーんだが、確かにケイさんやカケルさん、隆一さんや隆二さんみたいな方がいたら、俺たち男は不要なのかもしれない。だけど、何も殺さなくてもいいんじゃないか?」


「波夫、あんた、本当にニュースとか見てないのね」


 桐子にあきれられた。


「あんたが知らないうちに世の中は動いているのよ」

「ってことはだ、やっぱケイさんたちの影響か?」


『確かにそれをすべて否定するつもりはありませんが、この戦争自体は女性と男性がそれぞれ明確な意志をもって開始されました』


 ケイさんがテレパシーを挟む。


「そもそもなんで戦争が起きたんだ?」


『それについては、私から説明しましょう』


 カケルさんからテレパシーを挟まれた。


『長くなりますが、よろしいですか?』


 他に選択の余地のない俺は、うなずいた。

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