第35話  「鬼さんと言えば「地獄」」

 それは、大きな、恐ろしい真っ赤なお顔でした。


「ぱっちゃくん」は、もう、ひっくりかえって泣いてしまいました。


 のんびりやの「もうくん」も、相手があまりに大きいので、少し首を引っ込めてしまいました。


 さすがに大人の(あまり大人っぽくはないのですが)「魔女アマンダ」が、宇宙船アニーの中から答えました。


『あたしたちは地球から来たんだ。「火星の女王様」に会いにね。あんたはだれなんだい?あたしは、「魔女アマンダ」』


 大きな鬼の顔が言いました。


『魔女だと。「女王様」に会いに来たと。いやあ、聞いていない。「女王様」の推薦でここに来るなら、連絡が入っているはずだ。さては、「池の女神たち」の仲間か。気に入らん。おれはあいつらは嫌いだ。いばってばかりいるからな。』


『じゃあ、あんた、「幸子さん」を知ってるのかい❓』


『「幸子さん」だと? あの、「不思議が池」の「とんちんかん女神」か?お前あいつの仲間か?」


『友達だよ。』


『じゃあ、仲間だ。いよいよ気に入らん。』


 大きな鬼の顔は、真っ赤な火を噴きました。


『うわあん。怖いよう。』


 ひっくりかえって、泣きながら窓からお空を見ていた「ぱっちゃくん」が、とうとう転がりながら泣き出しました。


 「アマンダ」は、よけいに大きな声で言いました。


『だから、おまえは誰かと聞いたんだ?』


 「アマンダ」はとても気が強いのです。


 言い合いで負けるのは、絶対に嫌でした。


『なにい。生意気だ。生意気だ。よかろう、ここは「地獄」だ。俺は「地獄の鬼」の「ダイダラ王」だ。お前たち全員、「地獄」の責め苦に合わせてやろう。』


『ええー。「アマンダ」さん謝ってよ。お薬が間に合わなくなるよ。』


 「くまさん」が、アマンダに言いました。


『「地獄」だって。何か聞いたことがある。そうさ、「幸子さん」が悪人を「地獄」送りにしていると言っていたんだ。すると、なんだなあ、こいつは「火星の女王」の部下か。ふうん・・・』


『感心してないで、なんとかしてください。「アマンダ」さん。』


 「こんちゃん」も言いました。


『ぐわー!』


 と、「ダイダラ王」が声を上げ、大きな火を噴きました。


 すると、お花の園が、みるみる、火の海となり、真っ赤に燃え上がったのです。

『うわー!』


 「ぬいぐるみさん」たちが叫びました。


『地獄に落ちろお~!』


 鬼が叫び、「宇宙船アニー」は、大地の底に落ちて行きました。




  ********** 👹 🐼 🐻 🐭 🐮 **********










 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る