第29話  「月から火星」宇宙海賊登場!

 みなさんは、「お月さま」の裏側を実際に見たことがありますか?


 これは、でも、いまの子供たちはよく知っていますよね。


 「しっくん」が生まれた頃には、人間はまだ月に行っていませんでしたし、誰も月の裏側を見たことはありませんでした。


 人間が初めて月の裏側を観測したのは、ようやく1959年になってからです。


 今では人工衛星が写してくれた写真のおかげで、だれでも月の裏側を見る事ができるようになりました。


 さて、「くまさん」たちは、「太陽コンビニ」を飛び立って、月に向かいました。


 あの、「コンビニ強盗さん」も、宇宙バイクで一緒に飛んでいます。


『では、月の裏側を飛んで、火星に向かいましょう。』


 「宇宙船アニー」が言いました。


『はい、もう見えてきました。お月さまは、自転しながら地球の周りを回っています。自転周期と公転周期がおなじなので、地球からはいつも同じ側しか見えません。』


『お月さまには、「うさぎさん」がいるんだって。「しっくん」が言ってたよ。』


 「ぱっちゃくん」が自慢そうに言いました。


『日本の方は、古くから、月の海を、「うさぎさんが餅つきをしている」姿に見立ててきました。中国でも、同じように「うさぎ」に見立てていたこともあるようですし、他の見方もあったようです。西洋では、「かにさん」に見ていたり、編み物をしている「おばあちゃん」と見ていた人たちもいたようです。ただ、「女の人の顔」として見ていた人たちもいました。


 でも、この模様は、月の「海」が黒く見えるためにできるのですが、これは大昔に月の内部から溶岩が出て来て、「クレーター」を埋めてできたんじゃないかと言われてますが、なぜか地球側に集中していて、裏側にはほとんど見られません。地球人の科学者さんは、その原因を、一生懸命解明しようとしています。』


『「アニー」さんは知ってるの?』


『はい。「女王様」といっしょに、その様子を見ていましたから。でも、まだ「秘密」ですよ。』


『おしえてよ。』


「こんちゃん」が言いました。


『まだ、だめですよ。女王様が良いとおっしゃるまでは。でも、人間は、もうすぐ原因を、しっかりと「発見」するかもしれませんね。』


『お月さまには「こんびに」はあるの?』


 「もーくん」が聞きました。


『ええ、あります。月の裏側にね。ただ上からは見にくいところです。もうすぐ、そのうち、地球人も、お客様で来ることになるでしょう。じゃあ、「火星」に行きます。』


『「火星」って遠いの? アニーは、どのくらい早く飛べるの? 新幹線より早い?』


 「こんちゃん」が聞きました。


『「くまさん」は、「しっくん」と新幹線に乗ったことがあるけれど、「こんちゃん」はないなあ。新幹線は時速300キロも出るんだって。』


『アニーは、光速の90%くらいまでは出せます。つまり秒速27万キロくらいは出ます。地球と火星の位置関係は、どんどんかわってゆきます。近くなったり、遠くなったりします。つい先日、2016年の5月31日には、約7,500万キロメートルまで接近しました。火星は2年2か月ごとに地球に接近します。次の2018年7月31日には、約5,800万キロにまで近づきます。今は最接近したあとなのですが、まあ、あと火星まで、距離、約8000万キロとして、さらに光速は秒速30万キロメートルとして、アニーが秒速27万キロで飛ぶと、火星まで、あと、どのくらいかかるでしょうか? はい「アマンダ」さん?』


『いやだあ、あたし算数きらい。学校もきらい。だから「魔女」になったんだもんね。』


『じゃあ「くまさん」?』


『しっくんが、学校で「算数」は0点ばかり取ってたから、「くまさんも」計算苦手だよ。「ぱっちゃくん」もできないよ。「ねずくん」は「ネズミ算」をするから、できるかもしれない。』


『それはね、秒速27万キロなら、分速はその60倍だから16200000キロメートルだよ。それだと、5分くらいで着いちゃうよ。』


 「ねずくん」が言いました。


『はい、というわけで、ほら、もう火星が見えてきました。おほん。火星の半径は3397キロメートルで、一日は約24時間。自転軸が少し傾いているので、地球と同じように季節の変化があります。薄い大気がありますが、二酸化炭素が主です。大気が薄いので昼と夜の温度差が大きいのですが、赤道付近でも平均でマイナス50度くらい。大気が薄いと言っても、砂嵐が起こったりして、それが火星全体に広がったことが観測されたこともあります。小さな砂嵐が撮影された記録もあります。昔は、地球から望遠鏡で観察して、火星には「運河」があるとか、「たこ」さんのような宇宙人がいるとか言われたりもしましたが、現在は地球の探査機が、実際に火星の上を走って、地上の様子を中継していたりもしますから、昔とは随分状況が違っています。今のところ火星の生物は発見されていません。』


『でも、女王様は、「火星の女王様」なの?』


「くまさん」が尋ねました。


『はい、本人がそう言っておりますから。』


 アニーが答えました。


『それは本当なの?』


 また「くまさん」が尋ねました。


『そうですね、それを解決するのは、あなた方ですよ。』


『火星にも、「こんびに」あるの?』


 「ぱっちゃくん」が尋ねました。


 実は「ぱっちゃくん」は、それがとても気になったのです。


『ありますよ。でも、実は・・・あ、出ました、出ました。』


『出たって、何が、あ!』


 「魔女アマンダ」が叫びました。


『あれは何? 何か火星の陰から、いっぱい「バイク」みたいなのが、飛び出してきた。宇宙船もいる。』


『うわあ、「今回は、出るなよなあ」と思ってたけど、やっぱり出ましたねえ。あれは「宇宙海賊」です。』


『宇宙海賊!?』


 みんなが言いました。


『このところ、よく出るのです。どうやら勝手に、火星に基地を作ったらしいのです。それで、コンビニの「火星支店」も攻撃されて、今は閉店しているのです。』

『どうするのさ?』


 アマンダが聞きました。


『はあ、アニーは「幸子さん」の「自家用車」なので、武器はありません。よって、抵抗はできません。「宇宙戦艦なんとか」のようなわけにはゆかないのです。』


『えー!!』


 またみんなが、叫びました。


『頼りは、あの「強盗さん」と、やっぱり、あなたですよ。アマンダさん。「魔女」なんですから。』


「ぬいぐるみさん」たち全員が、「アマンダ」をじっと見つめました。


『うわー。』


 アマンダが、少し震えるように言って、こう付け加えました。


『相手が一人ならともかくも、あんなにいたら、さすがに再優秀な魔女でも、手も足も出ないわよ。』




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