第11話 「かなちゃんのおうちへ」
こうして、「くまさんたち」は、ついに大きな川に出ました。
そうして、ようやく夜が明けてきました。
お天気も、すっかりよくなりました。
『さあ、これからが本当の旅だ!』
「くまさん」が元気よく言いました。
やがて、東の空から、大きなお日様が登ってきたのです。
「くまさんたち」は、こんなすごい風景を見るのは、本当に初めてだったのです。
『すごいなあ!』
「こんちゃん」が言いました。
もう、みんなが日の出にみとれてしまいました。
そのころ「かなちゃん」は、おばあちゃんといっしょに、朝のお散歩に出かけました。
「かなちゃん」には少しだけ「しょうがい」がありました。
「軽度の知的障害」と、言われていました。
でも、「かなちゃん」は、お人形さんが大好きでした。
人とお話しするのは苦手ですが、「お人形さん」とならば、上手にお話もできました。
また、「おばあちゃん」とならば、もっとよく、お話しができたのです。
『ああ、「ばあちゃん」、ああ、あれ!』
「かなちゃん」が手をのばして、川の中を指さしながら言いました。
『どうしたの、「かなちゃん」。あらまあ、ありゃ何だろうね。』
「おばあちゃん」は、もう近眼だったり、老眼だったりして、いつもたくさん眼鏡を持っていました。
それで、「遠く用」の眼鏡に変えて、そのおかしなものを、じっと見てみました。
『あらま、「たらい」だねえ。まあまあ、中に乗ってるのは、「ぬいぐるみさん」のような。これはまた、不思議なことが・・・』
『「おばあちゃん」、あれ、とってえ!』
「かなちゃん」がおねだりしだしました。
『そういわれても・・・よし、じゃあ、「おばあちゃん」の秘密道具を使おうかねえ。』
「おばあちゃん」は、手に持っていた杖を持ち上げて、スイッチをプイっと入れました。
すると、まるで「そんごくう」の「にょいぼう」のように、するするっと、杖がながーくのびたのです。
『わあ!』
「かなちゃん」はびっくりしました。
「おばあちゃん」は、川岸から、棒を川の中にまでのばしました。
ちょうど「くまさん」たちの「たらい」は、川の中央からは離れた、川岸に近いところを、ゆっくりと下っていたのです。
『もうちょっと、もうちょっと!』
「かなちゃん」が、さけびました。
そうして、「おばあちゃん」は、ついに、「くまさんたち」の乗った「たらい」を捕まえたのでした。
それから『よいしょ。よいしょ』と、「かなちゃん」といっしょに言いながら、「たらい」を岸に引き寄せました。
『わああ、「くまさん」がいる、「ぱんだちゃん」もいる、「もうもう牛さん」もいる!』
「かなちゃん」は、もう大喜びでした。
『はあ、でも不思議だねえ。なんでこの子たちは、「たらい」に乗って川を下っていたのかねえ。まあまあ、びちょびちょだ。きっと、夕べの大雨でぬれたんだね。かわいそうにねえ。かわかしてあげなきゃね。それからどうするか、考えよう。』
「おばあちゃん」は、「かなちゃん」と、「たらい」に乗った「くまさんたち」をつれて、「かなちゃん」のおうちに向かいました。
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