第12話  「おばあちゃんのおうち」

 この、「かなちゃん」の「おばあちゃん」は、ただものでは、ありませんでした。


 実を言うと、「魔女さん」だったのです。


 昔から、「魔女さん」には、「いい魔女さん」と「悪い魔女さん」がいると言われてきました。


 でも、実際には、「魔女さん」の世界の中では、「いい」「わるい」の区別はありません。


 だって、ほとんどの「魔女さん」は、人間の世界の中で、まじめに生きているからです。


 「アマンダ」は、少しだけ不良の「変わり魔女」なんですけれど。


『さて、この子たちは、どこからきて、どこにゆくつもりなのかねえ。』


 「くまさん」たちは、「おばあちゃん」に、きれいにお洗濯してもらいました。


 「くまさん」はもともと「まくら」なので、平べったいのです。


 そこで、大きな洗濯ばさみで、「ものほしざお」から、ぶら下がっていました。


 「もーさん」は大きすぎて、まるまる洗う訳にはゆきませんでしたが、おばあちゃんが、ほこりを丁寧に取って、毛並みをきれいにクリーニングしてくれたので、見違えるように、ぴかぴかになりました。


 ほかのみんなも、びっくりするくらい、きれいになりました。


「かなちゃん」は、もう早く「くまさん」たちと遊びたくて、じりじりして待っていました。


 お天気が、すっかりよくなったので、やがて「くまさん」たちはきれいに乾きました。


 「たらい」も掃除してもらって、ピカピカになって、おうちのかべに、よりかかっていました。


 それから「かなちゃん」は、夕方まで、しっかり「くまさん」達と遊びました。


 やがて、かなちゃんは、おばあちゃんに呼ばれました。


『かなちゃん、ごはんですよ。』


 かなちゃんは、食卓の周りに、ずらっと、しっくんの「ぬいぐるみさん」たちを並べ、「くまさん」をお膝の上にのっけて、ごはんをいただきました。


 それからお風呂に入って、お布団にもぐり込みました。


 もちろん「くまさん」たちもいっしょです。


 さて、夜中になって、もう、「かなちゃん」は、よく眠っていました。


 「おばあちゃん」は、「かなちゃん」のお布団の横に座って、うれしそうに「かなちゃん」を眺めていました。


 「かなちゃん」が、こんなに楽しそうに遊んだのを見たのは、「おかあさん」が病気でいなくなってからは、初めてだったのです。


「こまったねえ。この子たちにはずっと「かなちゃん」といっしょにいてほしいけれど、どうやら、この子たちには大切な目的があるみたいだねえ。ちょっと、聞いてあげましょうかね。』


 おばあちゃんは、「ぬいぐるみさん」さんとも、ちゃんとお話ができるのです。


『あなたたちは、どうして、あのたらいに乗っかっていたの?』


 おばあちゃんが尋ねました。


 すると、「くまさん」がお話を始めたのでした。




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