第4話 「くまさんの計画」
「くまさん」が言いました。
『しっくんを助けてあげないといけないんだ。』
集まっているみんなが、これには同意しました。
『でも、どうするの?』
「こんちゃん」が尋ねました。
「くまさん」は胸を張って答えました。
『「火星の女王様」のところに、お薬をもらいに行く。』
『「火星の女王様」って、だれ?」
ビーバーの「びーちゃん」が言いました。
『知らないんだけど、いつも「しっくん」が言っていたんだ、~「火星の女王様」はどんな病気も直してしまう、すごいお薬を持ってるんだよ~、って。』
『すごいなあ。でも「火星の女王様」は、どこにいるの?おとなりのおうちあたりかな。』
ぱんだの「ぱっちゃくん」がぼやっといいました。
でも、「ぱっちゃくん」の目からは、もう涙が出そうになっていました。
実は、「ぱっちゃくん」🐼は、ものすごく泣き虫だったのです。
「しっくんが」一時間くらいお買い物に行ってしまっても、いつも泣いていました。
『「火星の女王様」がいらっしゃるところは、おとなりよりは、もっとずっと遠いところなんだ。たぶん、海の向こうよりも、もう少し遠くて、そこは、「宇宙」にあるんだ。』
「くまさん」が思慮深く言いました。
「思慮深く」、というのは、もう、ものすごく考えて言っている様子なのです。
『海って、どこにあるの?砂漠よりも向こう?』
らくだの「らくさん」が言いました。
『ぼくは海を見たことが何回もあるんだ。「しっくん」の自動車に乗ってね。』
「くまさん」が自慢そうに言いました。
『すごいなあ。「くまさん」は良いなあ。』
みんなが言いました。
「くまさん」は、とっても誇(ほこ)らしげでした。
『でも、どうやって海に行くの?「しっくん」がいないと、自動車が動かないよ。』
「ぱっちゃくん」が心配そうに、もう半分泣きながら言いました。
『そこが、問題なんだ。』
「くまさん」が、もっと思慮深く言いました。
『でも、おうちの前の川を、ずっと下ってゆくと、やがて海に出る。「くま」は それを知ってるんだ。』
『あの川って、お水だよね。』
「こんちゃん」が言いました。
「こんちゃん」はときどき、「しっくん」の自動車に乗ったことがありました。
だから「川」というものは見ていたのです。
『あそこは、たぶん歩けないよ。しずんじゃうんだ。ぶくぶくと。お風呂の中みたいに。』
『それも、問題なんだ。でも、お風呂の大きな「たらい」に乗ってゆけば大丈夫だよ。だって、「しっくん」が使う「洗面器」は、お風呂に浮かぶんだ。「たらい」は大きな「洗面器」だから、きっと浮かぶよ。」
くまさんが、大事なことを指摘しました。
「おー! すごいなあ。」
みんなは、感心しました。
「それに、大切な事を「しっくん」が言っていたんだ。つまり、海の中に『タルレジャ王国』という国があって、そこから宇宙に行く「船」が出てるんだって。」
「おー! じゃあ「タルレジャ王国」に行こう!」
そこで、話し合いの結果は、こうでした。
1 「しっくん」を助けるために「火星の女王様」にお薬をもらいに行く。「くまさん」がリーダーをする。
2 女王様は「海」のもう少し向こうの「宇宙」にいる。
3 「海」の中の「タルレジャ王国」にゆけば、「宇宙」に行く「船」に乗れる。
4 おうちの前の「川」は、「海」につながっている。
5 だから、まず「川」を下って海に出る。
6 お風呂場にある、大きな「たらい」に乗ってゆく。
7 「くまさん」「ぱっちゃくん」「こんちゃん」「ねずくん」「もーくん」が代表として出かける。
8 あとの子は、いい子でお留守番する。
「くまさん」🐻たちは、この計画には、かなり無理があるのだ、ということには、気が付かなかったのです。
だって、まず第一に『タルレジャ王国』は「しっくん」が作ったお話の中の国だったのですから。
捜しても見つからないのです。
けれども、「くまさん」たちは、やる気満々(まんまん)でした。
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