第一章・仮面付き編

第1話・最果て《ワールドエンド》


 「どうやら賭けは、私の勝ちみたいだね」

 「うるせぇ。自由にしてみろって言われたから、行けると思ったんだよ」

 「本気ですか?」

 「半分はな。脱獄できる方法さえ先に掴めていたら、それで十分だったんだ」

 「でも、出来なかった。情報屋の私ですら、もう何年も脱獄できていない。そんな監獄を三日で脱獄するなんて、私から言わしてもらえば片腹痛いってとこですよ」

 「悪かったな間抜けで」


 不貞腐れる青年と、笑うフードを被った男が並んで歩いていた。白い壁紙の広い通路。両脇には部屋が幾つも均等に並び、床には紺のカーペットが敷かれている。まるでビジネスホテルの一角かと言われても信じてしまいそうになる風景。

 だがここは、そんな平和な世界ではない。

 フードの男は手を広げてこういった。


 「それじゃあ、改めて君を歓迎するよ。ようこそ、この最果て(ワールドエンド)と呼ばれた監獄へ」

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