世界ピザ職人選手権で優勝した男の話

おっぱな

第1話 小五郎。

「優勝は! ピザと寿司を見事に融合させたコゴロウ!」


 世界ピザ職人選手権にて優勝から五分後。

 10万人以上の観衆に囲まれ、小五郎はスタジアムの中央に設置された壇上の上で手を上げ、小五郎は声援に応える。

 

 司会のイタリア人は全身黄色いストライプのスーツを身に着けた中年の男にマイクを向ける。


「俺様は今まで『マルゲリータ』を『マルガリータ』と呼ぶ人間を嫌っていた。しかし、コゴロウのピザを食ってそんな事はどうでもいいと思った。味? それは勿論BOUNO! だよ」


 審査員の熱の入った言葉に更に盛り上がる観衆。

 司会の男はマイクを小五郎に向け。


「私は日本で生まれ育ちました。思春期を迎えた頃にこの世の全てが嫌になって訪日外国人に『寿司屋に連れて行ってあげるよ』と言葉巧みに声を掛け、知らない場所に連れて行って放置するという嫌がらせを週4でやっていました。自分でもいけない事と分かっていたのに止められませんでした。そんな時、私は7歳くらいの白人の少女に出会います。どうやら、少女は迷子のようでした。私は少しイタズラしてやろうと思い、人気のない路地に少女を連れて行きます。『よし。この辺でいいだろう』と足を止めると目の前には寿司屋が。そして、偶然にも寿司屋から少女の両親が出て来て、私はボコボコにされました。でも、私はその事がキッカケで自分の人生を見直す事が出来、自暴自棄な生活に終止符を付けられた。今ではその少女に感謝すらしています」


「小五郎。実はある人をここに呼んでいるんだ」


 司会の男が意味深な発言をし、小五郎はハッとし、司会の男の目を見る。


「え?」


「カモーン!!!!」


 司会の男の声に反応し、スタジアムの奥から何やら人影が近づいてくる。

 小五郎はその人物が誰だか分かったのだろう。嬉しさからか小刻みに震える。


「あ・あ... ...」

 

「小五郎? 誰だか分かるか?」


「ふ・フランクミュラーの社長だ!」


「congratulation! コゴロウ!」


 そして、小五郎は社長から優勝賞品のフランクミュラーの時計を貰い、帰国した。

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