第4話

 その時!

 珠ちゃんが突然「ウィイッツ」と叫んだ。

 信じられない光景。

 珠ちゃんのヒジが鬼畜強姦魔1号の鼻へ、シュッツ。

 夜空に綺麗に血のしぶき、プッ、シュッワー。


 何っ、あらっ、どうしたのっ、つぎも「ビッ」っと風を切る音。

 目にも止まらぬ速さで、珠ちゃんの右足は純ちゃん付きの強姦魔2号の顔面へ回し蹴り。

 グキ、鈍い音、2号吹っ飛ぶ。

 珠ちゃん、いつもの口調で、

「あっ、やだぁーきっと鼻の骨グチャグチャ~」

 と、喜ぶ。


 強姦魔1号、2号、芝生に転がって、ピクピク。ゴボゴボって音、おそるおそる顔を見れば口から血なんか吐いている。

 鬼畜3号、4号、多分びっくり。

 私たちはもっと、びっくりしている…。

 カチッ、3号、4号の手元で金属音、キラッと光るは、ケンカとレイプの必需品、ナ・イ・フ。

 私、気がつけば純ちゃんとお手てニギニギ、汗びっしょり状態。

 珠ちゃんが叫んだ、

「二人バラバラ、バラバラに~バラバラ!」

 強姦魔3号、4号がちょっと気と取られたその瞬間、まるでスローモーション。

珠ちゃん反転、勢いつけてのナイフを持っている3号の外側に男の腕を取って脇に入りらがら、その腕を背中の方にぐるっと、もってきてひとひねり。

 3号、みごとに宙をまわって一回転、男背中からドスーン。

 天真爛漫、いつもの調子で珠ちゃんが、

「ねーねぇ、ヒトミさん、純ちゃん見てみて、ほら、手、見てごらん、さかさまについちゃってるみたい、きゃ!きゃ!」

 などと、また喜ぶ。

 私、珠ちゃんに言う、ここまでくれば結構冷静。

「珠ちゃん、この腕さかさまについいている様にみえるんじゃなくて・・・普通とホントに逆の方向に変なことになっちゃってるよ~」

 って思わず状況分析。



 あっ、危ない。

 珠ちゃんの後ろに強姦魔4号が襲う。

 突然、純ちゃんがどこで拾ったか直径20センチ、長さ約1メートルの木の棒を素早く振り上げる。

 4号の肩から腰にかけての斜めのラインを重い音、ドスっとクリーンヒット。頭を直接狙わないのが、彼女の優しさか、人間の本能か。

 時間が一瞬止まって、これが“崩れ落ちる”ってこんなカンジって位のドン、ダンと芝生にバイバイ、地面にうつ伏せお休みなさい。

 珠ちゃん、お茶目に、

「純ちゃんやるー」

 そして、私に、

「ワォ、ヒトミさんキーック!」

 大声で叫んだ。

 私の横を見れば、強姦魔1号が鼻から下を真っ赤な血液で濡らしたまま中腰で私につかみかかる。

 私、この流れ止めちゃ失礼とばかり、そう、人の頭をナイスキック。

 グワッシュ、側頭部ヒット。高校2年までの女子サッカー部、こんなところで役に立つ。

 あら、案外簡単、こっちに向かってたはずの彼の頭が、バターンて反対側に飛んでいく。

 再び、鼻から血が吹き出る、プ、プハ、プヒハー。派手に血潮が夜空を飾る。

 私、見る、感じる、カ・イ・カ・ン。

 飾る血潮に突然ながら、去年かついだ三社祭りの神輿に飛び散る粋なお神酒の気合の泡沫、なんでかここで思い出す。



 戦闘終了。鬼畜強姦魔、4名、あえなく大和撫子の予想外のパワーに散ったの絵図。

 珠ちゃんが、どうしようか?警察行く?って相談したって・・・私と純ちゃん、思考能力ゼロ。

「めんどくさいから、このままでい~よね」

私と純ちゃん、口を揃えて、

「ハイ、そうですね」

すると珠ちゃんが、

「それよっか、運動したら喉かわいたね~、なんか飲みに行こうーよー」

って。この女、松原珠江、22歳、ただもんじゃない。

 夜風に吹かれ、みんな、首をクキクキ、腕をグルン、グルン、腰を左右前後にストレッチ。ちゃんと、クールダウン忘れず、闘いのの場を後にした。


 エアロビやった後ってカンジの3人組はカイマナビーチ・ホテルのラナイのバーに向った。誰が見ても、ここにタラタラ、公園を歩いている美女3人が、まさに今、チャーリーズ・エンジェルばりに強姦魔との激しい闘いを制し、それも圧勝した後の3人娘には絶対に見えない、と思う。



 まずは、ビールで乾杯。

 私と純ちゃん、聞きたい事、言いたい事たくさん、でも血、プハーで興奮中。

でも、なかなか口、開かないで、なめるように珠ちゃんの指、腕、首、お腹、足を2人して見ても、やっぱり、いつもの普通の女の子。でも、よーく見ると、手の指の関節がちょっとだけ、ゴツゴツしている気がしてきた。

で、ビールをキューンとやった珠ちゃんが、

「気持ち良かったねー」

 と唇についた泡を拭う。

 それから、私たちセキを切ったように話し出した。


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