第3話
事件は3日目に起きたんだ。
事件と言うほどのことある、事件なことが、まさかの私に降りかかる。
今日はさすがにお疲れ、遅めのパワー・ブレックファストを海辺のレストランで。それから、私の知っているとっておきのビーチヘ「ラニカイ」へ。
風と景色が有名のパリハイウェイを北に、カイルアへ。そこから東に住宅街を抜けるとあっと驚くスゲー、きれいなビーチ出現。
純ちゃん、珠ちゃん大喜びの大感激。
今日はカヌーなんぞでピチャピチャ遊んで、ボード続きに少々の気分転換。横に泳ぐ海亀も微笑ましく。もちろん、3人満足のビーチライフ、ランチはロコっぽくジッピーズのベント・ランチ・ボックス。
海、キレイ。空気おいしい、お腹へる。
ダイエット?日本に帰ったら、帰ったら。
あっという間の帰りの車中では、早くもディナー、「なに食べる?」って相談は始まる。
今日の結論、せっかくのハワイってことで、純ちゃんのガイドブックのローカルがよく行く、で、とってもお安い、でも美味しいとあったカパフル通りのハワイアン・レストラン、オノに決定。
★
純粋ハワイ料理なんてもちろん初めて。おそる、おそるメニューを眺めつつ、やっぱりガイドブックに従いいろいろ出てくる定食系、コンビネーションをオーダー。
マグロのサイコロ切りゴマ油まぶしはポキ、タロイモの葉っぱに魚とか豚肉とか入れて蒸し焼きにしたメイン料理とか五種類に最後のシメはテールスープ。
「なかなか、ハワイ料理っていうのは、あれねぇーニッポン人の口に合うわねー」なんて、もう、すっかりお皿は空っぽごちそうさま状態。
もう満腹、勘弁状態。
動けないけど、動かなくては豚になる。もう、ヤバイ、腹ごなし必!そうだ、散歩、散歩でビーチに行こうっって珠ちゃんの提案、その時、時間は九時と半。
私一番のオネーサン、一応、
「ヤッバクない?」
って反対はしてはみたけど、おいしい料理と美味しいお酒。珠ちゃんの、
「大丈夫ですょ~」
の声に私いつものマァイイッカ。
さすがに純ちゃんも、
「ヤバクくなーい、こんな時間は・・・」
と一応ブレーキをかける。
でも、珠ちゃん、
「私がいればだいじょ~ぶ」
???のお言葉。
店の外、出れば爽やか、ハワイの夜風、これが何とも、気持ちいい。
優柔不断、心地の良さにあっさり負けて、流れるまま。カピオラニ公園の緑の香りに誘われてチンタラ、芝生をサクサク歩いてビーチに向かう。
遠くにビーチサイドのフリーのテニスコートが見える。ライトアップされたテニスコートからかすかに聞こえるスコン、ポコンのラリーのリズム。
★
公園をペタペタ、裸足にサンダル、ちょっと湿った芝生がとってもいい気持ち。
そんな時、ものかげから四、五人の男がフラフラこっちにやって来る。
あっ、ヤバイかもの嫌な予感・・・この先のテニスコートの裏で前に日本人が強姦されたって、なんで今思い出すかね。
ヘイヘイヘイ、って近よってくる、鬼畜来襲は4名でお出まし、今、確認。
状況最悪、改めて、油断大敵、地球の歩き方89ページ「ここは日本ではありませんので婦女子だけの夜の外出は十分注意しましょう」なんて知ってるつもりの海外旅行の手引きのイロハが脳裏をよぎる。
私たち3人は、恐怖に満腹感はぶっ飛び、ひたすら凍りつく。
いやだ、うやだ、あんなヤツラに大事な操に、大事なお財布、とられるなんて許せない。
この世に神様なんかいないのか、やっぱりこんな旅行、ハワイなんか来なければ良かった。
そうだ、嫌だったら嫌だってちゃんと、キッチリ断わらなくちゃいけないわって人生教訓、再度認識、いつものように自己嫌悪。
でも、もう遅い。
私の目の前で珠ちゃんの肩を抱こうとしている白人っぽいヤツ。
もう1人は純ちゃんの腕を引っ張ってなんか言ってる「イイジャネーカヨー」風。
残りの2人、ねっとりした目、白目がギンギン光って股間に手をやり私を見ている。
こんな時って、なかなか声がでないもんなんだ、って私、今、はじめて知った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます