イエローナンデス


おいらはイエロー。

世間ではカレーずきで知られてるよ。

そのイメージは多分

スプーンでカレーライスをがつがつほおばってる姿だ。


でも、実は……。

おいらがすきなのは、ナンなんです!

ダジャレじゃないよ、あのビローンってのびて香ばしく焼かれた

あの、ナンなんだ! ごはんよりナン!


だから本当は、インドの山奥で修行をしたいんだよー。

かつてヒーローでそんな人がいたって伝説を聞く。


ところが、インド人曰く

「インド人はナンなんて食べナーイ。あれは宮廷料理デースヨ。

 あれ焼くカマなんて、家庭にあるわけないじゃナイデスカー。

 日本に来てはじめて食べて、ビックリしましたヨー」


えーっ。

はぁー、じゃあ、カレーだけなんすかね。汁、だけ?


「アナタ、チャパティを知らないのデースカ。

 全粒粉で焼くクレープみたいなやつデース。

 あれならご家庭のフライパンで焼けマース」

おおー。チャパティ、チャパティ。(カバディとまちがってないか?)


おいらは知らなかった。なんとナンは日本で大人気!

むしろ日本で修行だよ。

窯もってるとこ探して、自分のナンを焼けるようにしよう。


窯って自分家に作れるかなー。ぺったん、ぺったんとたたきつけて

こんがり焦げたとこと、ぷくーっとふくらんだとこをつんつんとつつきながら

愛すべきカレーにくるっとつけて、あああー。


それから巨大なナンを焼いて、オフトゥンにするのもいいよな。

焼きたてを体にふわりとかけて。

おいっ、アッチーじゃねーかっ。


🍛


ところで、イエローといえば食い気だけって誤解されることが多いけどっ。

おいらだって、いい年の男だ。恋くらいするんだよ。


今、おいらの10メートル先では、ピンク色の背中が見えているわけ。

あいつが健気けなげで仕方ないんだ。

男のくせに女装して必死に生きているピンク。

禁断の恋に身を焦がして、見つめる先はブルー。


あいつ見てると、まるで「女であることを隠しているように」

みえることがあって、余計に愛しくなるんだな。


この際、性別とかもう、置いとかねーか。

美しいものは、この世に存在する宝石さ。フッ。


あ? おいらの正体は、「ぽっちゃりヒヨコ」だよ。

尾っぽがプリチーだと評判なんだ。

フリフリ。お願いだから、こっちも見てくれよー。



<つづく>



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