第6話 1巻キャラクターコメンタリー①

「『愛原そよぎのなやみごと』発売記念、キャラクターコメンタリー!」

 そよぎが力強くそう宣言すると、後ろからファンファーレの音が聞こえてくる。仕組みとかはよく解らないが、今更ツッコむほどのことではないだろう。

 僕は問いかける。

「で、キャラクターコメンタリーとは?」

「第一巻の発売日ということで、買ってくれた人のために特典をつけようと考えたんだよ。それがキャラクターコメンタリー」

 そよぎは話を続ける。

「今から文庫版の○ページ、って宣言してからその場面を見ながら、私たちキャラクターがコメントをするってことだね」

「ほう」

 なるほど、アニメのDVDとかでたまにあるやつか……。

 しかし、やりたいことは解るが気になることがある。

「アニメみたいな映像に声を合わせるならまだしも、文章に文章を合わせてうまくいくか?」

「……正直、その辺は未知数だよ」

 そよぎは言う。

「でも、どうせうまくいっても、いかなくても、売れなかったら終わりだからどっちでもいいよ」

「それは言っちゃいかん」

「本屋さんで『○者の孫』は平積みになってたのに、私たちの本は平積みじゃなかったからね……」

「人気の差だ、諦めろ……」

 全国の書店の皆さま、できたら平積みにしてください。

「何はともあれ、やれることをやるだけだよ! キャラクターコメンタリースタート!」

 そよぎの宣言とともにキャラクターコメンタリーはスタートしたのである。


※ページ数は書籍版ファミ通文庫に準拠します

※若干、ネタばれもあります


P9

幸助「前から気になってたんだが」

そよぎ「なに?」

幸助「なんでそよぎはこのときコンビニで爆弾が買えると思ってたわけ?」

そよぎ「……それには山よりも深く谷よりも高い訳があるんだよ」

幸助「たぶん、それ山と谷は逆だけど、その訳って?」

そよぎ「コンビニのおむすびの中に実際に爆弾が売ってたことがあったんだよ」

幸助「……おむすびの中?」

そよぎ「うん、『ばくだんむすび』っていう商品」

幸助「それ、ただのデカいおむすびだからな」


p25

幸助「ここで○ケモンネタに走ってるけど」

そよぎ「うん」

幸助「そもそも、年代的に考えて、僕たちって『○ケモン金銀』とかやってる世代じゃなくない?」

そよぎ「まあ、そうだけど、私たちの台詞を書いてるのはおっさんだから、初代○ケモン直撃世代だから」

幸助「それを言いだすと元も子もねえな……」


p28

そよぎ「ここの敵の魔法少女の魔法名あるでしょ?」

幸助「うん」

そよぎ「校正のときに突っ込まれたけど、英文法間違ってたんだよ」

幸助「ええ……」

そよぎ「文庫版では直ってるけど、web版ではまだ直ってないんだよ」

幸助「直そうよ」

そよぎ「今なら作者の英語力の低さが確認できるよ! web版第二話を確認しにいって、PV増やしに貢献しよう! ついでに応援して」

幸助「やめようか」


p38

そよぎ「風音ちゃんの初登場シーンだね」

風音「……放課後の教室で何をしてるかと思えば、セクハラとは……本当に信じられない変態ね……」

幸助「だから、誤解だって言ってんだろ」

風音「まあ……そういうところがアンタらしいのかもね……」

幸助「なんか僕を認めたかのような雰囲気の台詞で僕を貶めるのはやめようか」


p42

そよぎ「風音ちゃんの話はなかなか高度だよね」

風音「……そよぎ、なんでこの話を人にした?」

そよぎ「え?」

風音「これはうちらだけの間の会話だって言ったよな……?」

そよぎ「え? そうだっけ……?」

風音「これはちょっと教育的指導が必要ね……」

そよぎ「ええ! 私は充分賢いから教育は間に合ってます!」


p43

幸助「なんでこんときの凪はポッキーで一人で爆笑してんだよ……」

凪「いや、なんか良く解らんけど、ツボに入ることってあるじゃん」

幸助「いや、あるけどさ……」

凪「あはは、ここでポッキーネタを出しておくと、後々ポッキーとタイアップできるかもしれんぞ」

幸助「ねえよ……」


p48

幸助「さらっと言ってるけど、『健全なマッサージ』ってなんだよ……。逆におまえは『不健全なマッサージ』を知っているのか……?」

そよぎ「よくわからないけど……」

幸助「だよな」

そよぎ「なんかリンパとかを刺激するやつだよね」

幸助「?!」

そよぎ「何が面白いのか解らないけど、凪ちゃんにやってもらったことあるよ。『これが不健全なマッサージだぞ』って」

幸助「凪、ちょっと裏に来い」

凪「ただの冗談じゃねえかよお」

幸助「……いいから来い」

凪「スケッチの目がマジなんだが……」


第一章 おわり

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