寿司刑事

流布島雷輝

第1話


突如、老舗寿司屋が大爆発を起こし炎上!


客、板前を合わせて数十人の死者を出したこの事件は、恐るべき暗黒寿司カンパニー『ヘル寿司』の陰謀だった。

そのことに気付いた日系寿司刑事『スージー高橋』は潜入調査を開始し、事件の首謀者ヘル寿司の大幹部オオトロ・マグロリッチと戦うことになった。


「ふははははは、くらえ大トロの舞!」


マグロリッチが俎板の上に載った冷凍マグロを華麗に包丁で切断すると、切り身が浮かび上がり、竜巻のように回転しながらスージーに襲い掛かった!


「くっ」


スージーは眼鏡越しに切り身を確認すると、冷静にそれを拳銃で撃ち落としていく。


「ふははははは、やるな。だが、これならどうかな」


目にもとまらぬ早業で俎板の鮪が次々と切断されていく!恐るべき職人技!そしてメジャーリーガーの剛速球のような速度でスージーに襲いかかっていく!

何とかそれを撃ち落としながら紙一重で回避していくスージー。


「どうしたらいいの?」


このままではじり貧。追い詰められていく一方だ!

その時だった!


「スージー、寿司の呼吸だ!」


突如スージーの脳裏に浮かび上がった兄のビジョン。

寿司職人を目指していた彼は老舗寿司店の爆発事件に巻き込まれて死亡した。

その彼が残したのが幼いころ二人で行った寿司屋で学んだ寿司の呼吸だった。


「寿司の呼吸」


スージーは手を前に組むと、深く息を吸い込んだ。

すると周囲の切り身が止まって見えた。

冷静に撃ち落としていった。


「そうだ、それでいい」


満足そうに消えていく兄のビジョン


「ば、ばかな!」


驚愕するマグロリッチ!


「臨・兵・闘・者 」


スージーが印を結ぶ。九字だ!


「や、やめろ!」

「皆・陳・列・寿・司」

「ぐがああああ」


スージーが九字を切るとマグロリッチが苦しみ始めた。


「ヘル寿司バンザーイ!」


断末魔の声とともにマグロリッチが爆発した!


「これで事件も解決ね」


スージーはポニーテールと大きな胸を揺らしながら、ヘル寿司を立ち去った。

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寿司刑事 流布島雷輝 @luftleiter

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