第5話 ケイカイ
「イリス、ランタンは持ってる?」
「持って...ないわ。ごめん、イブキ。」
「じゃあ、しばらくはこの辺で目を慣らしながら~」
「了解。 イブキは、どこまで?」
「私?私は最深部まで行くつもりよん♪」
「マジか、イブキ、そんな強かったのかよ。」
「つ・よ・い・のよん♪」
イブキのテンションが壊れてきている。ここからは、あまり頼らない方が良いのかもしれない。
二人が、そんな他愛のない会話をしていたとき、洞窟・最深部のドラゴンを筆頭に魔物たちが、着々と二人に近づいていた。 <侵入者>を排除するために。
「...魔物、居ないわねぇ。」
イブキのテンションが露骨に下がってきている。
だが、遠回しに伝えたいことは解った。
ここまで出ないのはおかしい、何かあるのかもしれない、警戒しておけと。
すると突然、イブキのお供(?)のドラゴンが何かに気付いた。直後、俺にもわかるほどの強い殺気が洞窟に充満した。
「...イブキ...、これは...」とイブキの方を振り返った俺は、始めてイブキが焦っているのを感じた。
「...!な、んなのよ、これ...!」
「イブキ!逃げよう!」
「...無理みたいよ?もう、すぐそこまで来てる...!」
「...グルルル‼」 イブキの小竜も威嚇しまくってる。
...こういうお決まりのピンチの時って、途中で誰かが助けてくれるもんだよな...⁉
~~~~~
(はやく、イリスに伝えないと!)
ルークは全速力で走っていた。
イリスが去ったほぼ直後、ルークは町の掲示板に目を奪われた。
《この先、洞窟内でドラゴンが複数確認されました》
これはヤバイ。
通常、洞窟や地下迷宮に存在するボス・モンスターは一体だけだ。統治する主は、二体もいらない。
が、今回の複数同時出現によって、主が乱立。
縄張り争いに勝つために魔物たちの強さが格段に上がっていると考えられる。
いくらイリスが強くても、一人じゃ絶対勝てるばすがない。かといって、自分一人加わったところで、確実にお荷物だろう。
とにかくイリスを連れて帰り、町の人に報告するのが最善策だ。
イリスが発ってから、まださほど時間も経っていない。今なら、まだ追い付ける...!
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