第6話 トツゲキ

「...着いた、やっと、、。」

一足遅れて洞窟に着いたルーク。息が上がって、肩で呼吸をしていた。

道中、イリスには会えていない。


(入っちゃったのかなぁ、、)

走ったとはいえ、自分より先に発った人だ。十中八九突入している。

息を整えてから、意を決して洞窟に入っていった。


 ~~~~~

 洞窟内では、イリスたちがすでに魔物に遭遇していた。ドラゴンが二体、ゴーレムが一体、さらに見渡す限りのゴブリンだ。

「「るしかないよねぇ...?」」

イリスは長剣を中段に、イブキは短弓に矢を番えた。

「いくぞ!」「いくよ!」

イリスが駆け出す。

イブキは思い切り弓を打ち起こした。

「バアム!焼き払え!」

瞬間、例のあの小竜が吼えた。

「グルルァァァァァァ‼」

直後バアムが火を吐いた。ブレスとも言われるドラゴン特有の攻撃だ。 あいつ、バアムって名前なのか。


イブキは、バアムの火で散り散りになったゴブリンたちを次々に射抜いていく。

仕留め損ねた奴をイリスが斬る。

その一連の流れで、ゴブリンは粗方片付いた。


残りは、ドラゴンとゴーレム。

先に動いたのはゴーレムだった。

のそのそと近付いてくる。ゴーレムは腕を振り上げて停止、そのまま思いきり地面に振り抜く。挙動が大きい、避けられる。イリスは大きく右に跳んだ。ゴーレムの腕は簡単に避けられた。だが地面の振動に巻き込まれ、イリスは体勢を大きく崩した。次いで身体の自由が奪われた。

(...麻痺スタンか。)

冷静に判断出来ているのは、イリスが死を直感したからだ。ドラゴンと目が合う距離だ。

(ドラゴンの目の前。これは...詰みだな。)


「イリス!おんなひとり遺して、、死ぬんじゃない!」

ドラマチックな台詞だが、こんな状況でどうしろと言うんだ。

すると、イブキはおもむろに矢筒から矢を1本摘まみ出した。それを握ってゴーレムに突撃していく。

...ん?突撃?

「おい!バカ!止めろ!」

イブキは聞く耳を持たずゴーレムに飛び掛かり、、

矢を突き刺して倒してしまった。


 ...嘘だろ、おい。






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