新たなるシティー

闇からの生還

鎖だけではない

あの鎖には何か魔術がかかっていた......

囚われた体の痛み

そしてくだけた『ダビデ』

リュウヤは脱け殻のように暗い闇の中に横たわっていた

『リュウヤ殿、すべての者は救えなかったがあの銀色の玉のなかにいた者は助けたぞ。『エメルーン』の中に有る。』

低く優しい声......

『生きろ、生きて残された者とまだ闇に染まらぬ美しい〔シティー]を守るのだ。そなたはその力でシティーに有る形なき者の声をきけるだろう。』

目を開くと美しい鱗がある体に包まれていた

やつはどうなったのだろう?

仲間は?


目を開くと薄い水色の天井があった

鼻につんとくる臭い

「奈帆、これは布に挟んで......」

「ミヤちゃんそれはぬるんじゃないよ。つけてもだいじょうぶだけど......」

「ギャー!しみる。」

痛む体を起こそうとすると頭に白い布を巻いた女性がとんでくる

「無理しないで。起き上がるのは無理よ生きてるのが不思議なぐらい重傷だったんだから。」

黒い瞳に褐色の肌

「ここは?」

「私たちは『ヤマト』て呼んでるわ。ここには戦争で傷ついた人達が担ぎ込まれて来るの。トシー、この人も『薬草湯』に運んであげて。」

元気がいい子だ

「失礼。」

男性に抱えられ運ばれる


「闇の洗礼は受けてないね。そっちのくぼみに。」

銀髪を高く結わえた老婆はクコ

リュウヤも面識のある術師だ

「無事だったのかいリュウ殿。」

布の上に葉や花が置かれる

「生きてる見たいですね。仲間は?」

「私が出るときはまだ『ダビデ』はあった。ここに運ばれた者はみんな闇に帰って行ったよ。」

リュウヤの目から涙がこぼれた

追いつめられながらも共に生きてきた同士達.........

「今は体を癒すことだよ。」

枕元の香木の香りが眠りをさそいリュウヤは涙を流しながら眠りについた。




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