別れ
金髪の少年は青い石を銀色の盆の上に置いた。
しばらく覗いていなかった故郷を見ようと思ったのだ。
青い石から映像が写し出される
「ユーリ、どっかに魂ごと行方不明になったのかと思ったよ。」
画面に写し出された赤毛の少年が言う
「ワッ!ビックリしたあ、ここだと魔力が安定しないんだよ。ユーキスどこが平和で稼ぎまくりなのさ大変だよ。」
ユーキスにそそのかされて軽い気持ちで地球に来たユーリの前にたちはだかったのは生き抜く人々の苦しみだった。
「なんか俺が体験した感じと違うな。」
この部屋の半分は大パネルだらけだ
ユーリが他の研究者と造りあげた無人監察機からの映像がたびたび送られてくる。
「ほんとに地球にいるのか?」
「地球だよ。これが地球のシティ、ユーリは好きじゃないからここの住民とは関わらない。」
小型パネルで銀色だらけの町をユーキスにみせる。
「エーなんだこれ?奥多摩の俺の友達は?」
「奥多摩シティなんてないよ。ユーキスの言ってた牧場もないよ。ここの生命体は四角いこんなとこで育てられてる。やれ宇宙に巨大なタウン作るとかくだらない話しばっかりだよ。まあムーから離れた南の島ならまだいるけど。」
ユーリの言葉にユーキスが首をかしげる。
「ルーシアはネプチューン王国に母さんと行くから俺とヒグレはそっちに行くよ。」
画像がゆれて見えなくなった。
ダメか………石を取り出そうとしたユーリはモウレツな魔力で頭がクラクラした。
「魔術師、地球にもいるのか。これは計算外だな。」
鬼柳剛………いや声はにてるが画像に写ったのはプラチナブロンドの男性。
「だれ?」
「僕の名前はシオン。なかなかキレイな顔してる君は生かして僕のコレクションに入れてあげよう。」
ユーリは冷や汗が出てきた。
あわてて石をなげとばすようにどける、カシャーン!
床に落ちた石は割れ、なかから水色の気体がとびだす。
「まずい。」
あわてて呪文をとなえ手元の試験管に気体をおさめる。
あいつは、闇の魔術師だ、まずいな………ユーリの嫌な予感はまさに的中しようとしていた。
「ヒカル、お前は異世界人なのはわかった。でも俺は村のみんなとかわりないよ。」
トモエの洞窟をでて船を待つあいだにエイジがきく。
「そうだな、俺も詳しいことはわからないただ俺達は村のみんなみたいに母から産まれていないということはいいきれる。」
青みのかかったヒカルの髪がゆれている。
「わからないことだらけだ。トモエさんも悪魔の呪いとしか教えてくれないし。」
船をまわしてきたトシの姿が見えてきた。
二人のことはスバルとトシしか知らない。
「エイジもヒカルも俺達の家族だ忘れないでくれ。」
二人の手首に珊瑚と蔦で作ったお守りをつけてスバルは手を握った。
朝の務めでつかう香木の臭いが香る。
「ヤエを頼みます。」
ヒカルが首にかけていた石の小刀をとる。
「それは受け取らない。二人の産まれがどこであろうと必ずここに帰ってくると俺は信じているから。」
二人はそれぞれハグをして舟に向かう。
スバルの姿が小さくなってしばらくすると。
「ぷはーつらかったあ。」
舟の横に奈帆が表れトシはあわてて舟を止める。
「なっ奈帆、えっと………」
「わかってるわよ。トモエ様の洞窟にいる間にエイジさん達がいたの。『海の女』は知っているけどみんな口が固いから誰にも言わなかったのよ。トモエ様はムーに向かえていうけど私はいかないほうがいいと思う。嫌な予感がする。」
奈帆がヒョイとあがってくるのとどうじにイルカが顔だしひとなきする。
「経路それたほうがいいよ飛び魚の大群とぶつかるって。」
小舟の向きをかえる。
「エイジさんもヒカルさんもなんかあったら海に頼ってね。海は二人の味方よ。スバルがあやしむからもどるわね。」
イルカの背に軽々のると奈帆は去っていった。
「ほんと海の生物となかいいな。僕にはまねできない。」
トシがつぶやく、久々の明るいできごとに二人も笑みがこぼれた。
『ムー大陸』、かさなる地核変動で大陸は一つになったという。
しかしその大陸は人々の欲望による環境汚染と戦争で赤茶けた大地と黄色い岩の荒れ果てた大地に変わりま果てていた。
人々は半円形のドームの中で暮らしていた。
「災難は飛び魚くらいで無事にたどりついて何よりです。トシさんお久しぶりです。」
半分は水に浸かった船の上に金髪の少年が立っていた。
「久しぶりだねユーリ、いつも島のことを見てくれてありがとう。ヒカルさん、エイジさんここでお別れです。ここからは潜水艦じゃないと行けないんです。病が癒えたら戻ってきてくださいね。」
銀色の板を渡り潜水艦に乗り移る。
「中に入ってください。」
丸い入り口から中に入る。
ゆっくりと船はしずみ海に浮かぶ小舟の影が画面でゆれた。
サヨナラ、優しい人々………悪魔の手がかれらにのびないことを祈ろう。
チリチリと頭のなかでなるなにかにたえながらヒカルは祈った。
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