▫人質
ネプチューン王国は技術者と魔術師がともに共存する王国である。
たいていは、惑星(シティ)によって別れていて同じシティ内で暮らすことは無いが、『トリオシティ』ではともに共存しあい暮らしていた。
「もううんざりだ。」
『ゴッド』のなかでも『イーオン』と呼ばれるグループのリーダーリュウヤは四角い小型パネルを投げ飛ばした。
リュウヤの怒りでまわりにバリバリと稲妻のような光がはしる。
「落ちついてリュウさんコンピュータが壊れたらそれこそやつらの思うつぼですよ。」
水色の髪の小柄な女性がリュウヤの腕にそっと手を置く。
「サヤ、ありがとう。生命を作り出すなんて我々はしてはならないことだとおもわないか?」
「本来、命は闇から来て女の体に宿ります。女は命の光を受け取った日から大切に大切に自分の胎内で育てるんです。彼らは命の尊さがわかっていません。まるでロボットと同じ扱いをするのです。力があればあの人達を排除したいのですがリオの力はこうして人の心を穏やかにすることにしか役にたちません。」
シオンが実験に使い破壊してしまった小さなシティに住む『癒しの手』、地球でいう医者の娘だったリオは純水で美しい女性だ。
シオンがコンピュータに同化し操る力を持つリュウヤに監視役つけたようだが命の尊さを一族で教えられているリオも『ゴッド』の上の人間のやることには怒りを感じているようだ。
監視役だが、なぜかカプセルと言われる人を操る波動をだす悪魔のような物を打ち込まれていない。
リュウヤ自信は一族の人質として『ゴッド』に来た人間だ。
リュウヤの生まれはこの銀色の世界に住むものがスラム街とよぶ下層部三だ。
そこには魔術師や魔法と呼ばれ不思議な力を使うもの達がひっそりと暮らしていた。
リュウヤの一族はコンピュータにみづから精神で操れる不思議な力を持っている、その力と技術で作り上げた『ノア』で地下で隠れすむ人々を支えてきたのだ。
どこでかぎつけたのか『ゴッド』のトップ、シオンが地下に来て力を貸すようにと行ってきた。
反抗すれば地下ごと滅ぼされる……一族の者もなくなく一番若くて力のあるリュウヤを人質にだしたのだ。
シオンはリュウヤにもカプセルを打ち込んだのだが、居場所がわかるGPS機能しか働かず
特殊電磁波による精神支配はなぜか出来なかった
イライラしたシオンははじめのうちはイロイロ試みたが最近は飽きたらしく放置だ。
支配は去れていないので力を注ぎながら内部をリュウヤは覗くことが出来た。
「こいつを開けたいが何らかの魔力がかかってるな。」
破壊してしまった小型パネルを拾いながら呟く。
リュウヤの力はコンピュータの奥ふかくまで除けるのだが、何個か見れないものがある。
俺の力にきずいている誰かさんがいるということか。
「リュウヤさん、あんまりまわると目がまわっちゃいますよ。それにその破片は捨てたほうがいいと思いますけど。」
リオが入れる薬茶の臭いで我にかえった。
考えるときの癖で歩きまわっていたらしい
「そうだな。」
ダストボックスに基板以外は突っ込む。
脳裏で画像がアップするリュウヤにはパネルは必要無いのだが面白いので使っているだけなのだ。
「またソーダさんが届けてくださったんですよ。ギボンとかいう魔力を高める効果がある木からまれに取れる果実なんだそうですよ。」
お皿の上には紫色の楕円形の果実がおかれている。
「ありがとう。うわっしたにくるな。」
少し癖のあるピリリとした味の跡に柔らかな甘い味が広がる。
ネプチューンには『風の民』と呼ばれる各シティに散らばって住んでいる一族がいる。
その一族の少年がたまにリュウヤのもとを訪れる。
この少年は魔術を使うのだがシオンには気づかれていないようだ。
人質の身でなければな……下のみんなを救うてだてをソーダに相談できるのにな。
魔力で遮断できても限界がある。
目に見えない監視があるいじょうは『ノア』の詳しいことは話せない。
ここで膨大なコンピュータの源にされても下層部で暮らす仲間を忘れたことはない。
魔術師が関わっているなら時間の問題かも知れないな。
俺の脳にアクセス出来たら『ノア』のこともばれる。
せめて仲間にこの脳内にアクセスされた情報をおくる手段があればよいんだが。
リュウヤは考えてからソーダが浮かんだ。
『風の民』は魔術の力の真を知り尽くしているという、ソーダにならなんらかの方法で記憶を取り出せるかもしれない。
アラアラしい足音がする。
リオがビクッと体をふるわせる。
「お前はサンシャと奥にいろ。」
リオはを奥の部屋に行かせる。
リュウヤは修理していたパネルと道具を机に置いて白衣をなおした。
「また僕に君は逆らおうとしているみたいだね。」
扉が開いた瞬間に入ってきたシオンがリュウヤに静かな声で言う。
「何を根拠にそんなことを言うのですか?」
原因はわかっている今、シオンが作りだそうとしている戦闘部隊を阻止するために頭脳コンピュータをマヒさせたからだ。
「僕は美しくないものは嫌いなんだ。あれは美しくないだから美しい者に僕が変えてやろうとしているのに大切な頭脳をマヒさせる機材をいじらずそんなことを出来るのは君だけだろ。」
この人間の考えこそおかしと言ってやりたいがリュウヤは自分を冷製にさせる。
「俺はそんな力はありませんよ。上の方々のように文字やらを作り出さなくてもコンピュータを操ることは出来ますがマヒなんて。」
実は他の人間の気を集めて見えない力でコンピュータ破壊を出来るがシオンには知らないはずだ。
シオンがツカツカと歩いてきてイスに腰掛けたままのリュウヤの首をつかむ。
「君は隠し事はこの僕には出来ないてことを忘れないでもらいたいね。しばらくは僕のお人形になってもらう。」
首を話してツカツカと扉から出ていった。
魔術師が絡んでるか、俺が知らないやつなら外部者か?今は探らないほうがよさそうだ。
「ちょっとやりすぎですよ。」
いつの間にかソーダが部屋の中にいた。
「どっから入ってきたんだ。まあいいさ俺以外の仲間に被害が及ばないならな。」
ソーダが指のパーツをいじる。
なか指のパーツをとり部屋の隅に置くこれで話は外にもれないらしい。
「俺は密使の役目もありますからね。それにあのシオンてやつは魔術に関してはあまり知識がないようなんでこちらも好都合なんですよ。」
このソーダは全身武器装備という恰好だがこれは『サイエンスシティ』での姿らしい。
「やつは魔術は使えない。ソーダ盗聴はないな?」
「長くは無理ですけどだいじょうぶですよ。ありがとうございます。」
リラの実を発酵させた酒をついでソーダに渡す。
「俺は奴にカプセルを埋め込まれはいるが脳は支配されていない。魔術なら力を使えばその力を使った者をたどり脳内を読むことも出来るのか?」
「出来ますよ。俺たちも出来ますがむやみやたらに読むことはしません。その者が助けを求めている時のみ使います。」
ソーダはそう言ってリュウヤをみる。
思わず視線をそらす。
「お仲間を助けて欲しいと思っていますね。すいません今よみました。」
何も感じなかった。
「ああできればね。後はこの脳内の情報を仲間に伝えたい。やつらは地下を知り尽くしているようで知り尽くしていない。まだやつらが知らない奥なら逃げれる。」
魔術師が絡んでるとなれば、名前を知られているものは逃れるのは難しいかも知れないが。
ネオスから訪れた魔法使が言っていた、名は言霊、その人の魂なのだと。
「出来る限りののことはしますよ。カプセルは後にとりはずせばいいリュウヤさん逃げましょう。あいつは約束を守るきなんてありませんよ。地下の住民達の征伐がはじまっているんです。このシティにも仲間が何人かいるのですが、その者達が伝えてきました。やつは黒魔術師を丸め込み地下の住民を操ろうと企んでいるらしいと。」
リュウヤも気づいていた、頭脳コンピュータを破壊した理由は地下をリュウヤ達と共に守ってきた魔術師をシオンが捕らえたからだ。
「アッサム達が捕らえられているのをみてから気づいてはいた、俺は逃げないでここで出来ることをしようと思う。アカリにはすまないが一族の者がつれ去られないようにしてもらいたいと伝えてもらえるか?魔術師が関わっているので地下の気を探るのは危ないからな。」
黒魔術師のことはリュウヤもしっている。
闇を操る魔術師だという。
その真の姿はわからないらしい。
「ソーダ、俺はおそらくシオンに拷問にかけられる。記憶をとり出したり消極出きる技はあるか?」
「出来ないことはないけど危険な技だし、道具、いい方悪くすれば身代わりリュウヤさんの記憶を託す人が必要になります。」
身代わり………リオがうかんだ。
どうせ拷問は逃れられないだろう。
「リオを極秘で連れだせるか?」
「可能ですよ、ただリュウヤさんの魂も抜ける危険はありますよ。」
密使の習慣からかソーダはあまり感情を外に出さないがきがすすまないのは声からわかる。
「構わないさ、それにそのほうが好都合かもな。肉体はシオンの餌食にされるだろうが。」
隅においた機械が点滅しはじめる。
「時間ぎれだな。術はすぐ出きるか?出来ないなら拷問うける身だ、一暴走する。」
リュウヤの決意はかわらないと察したソーダも覚悟をきめた。
「暴れなくてだいじょうぶですよ。まだ少しは持ちますから。わかりました。」
隣の部屋に行く、リオはサンシャと話していた。
物のように扱うのは申し訳ないが、幸せな未来が開けることに嬉しさがます。
「リオ、時間がないから詳しくは言えないが、俺の仲間のとこに俺の記憶を持って行ってくれないか?」
すぐに意味をさっしたようだ、大きな瞳に涙がたまっていく。
「リュウさんも逃げましょう。リオはこんなとこ嫌ですけどリオだけ助かるなんて嫌です。」
小柄な少女を抱き締める。
「俺はここでやるべきことをする。お前だけでも逃げて仲間に危険を知らせてほしい。俺は死なないしいずれは仲間のもとに帰る。」
まだ涙を流しながらリオは目をあげた。
「わかりました。必ずリオを向かえに来てくださいね。」
額にキスをして、ソーダのまつ部屋にいく。
「でわはじめます。」
ふとリンクが一時きれてることにきづく。
「軽く頭脳マヒかけただけですから長くは持ちません。からいそぎます。」
頭の中が引っ張られていく、そしてリオの頭に白い筋が吸い込まれていく。
「終わりましたよ。きづかれましたね。」
警報の音がひびく。
「俺のことは心配するな拷問は拷問かわりない。これは持っていってくれやつに飲まれるのはごめんだ。」
リラの酒のビンと薬茶の入った容器をソーダに渡す。
ソーダはてをあげると寝室のほうに姿を消した。
寝室に抜け穴てとこか、俺はいつでも逃げれたのか。
カプセルをほじくりださなければ逃げても無駄だが、首の後ろに撃たれているので取れても死ぬ可能性はたかいだろう。
死ぬ前にやつらの城を壊してやりたいものだ。
警報の音をききながらリュウヤは静かに目をつぶった。
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