送還
『ゴッド』は人を造りだすことに成功した。
そして研究者達は自分のクローンを造り出した。
しかし、いくら同じ人間を造り出しても中にはいっている魂は違うのでけして自分と同じ自分ではなかった。
彼らは腹を立てた、なぜなら彼らの一部が求めたのは自分の替え玉として自分を作り出したかったからだ。
クローンを自分の替え玉として使うために、彼らは操り記憶を刷り込む特殊電磁波をだすカプセルを作り出しクローン達に埋め込んだ。
カプセルは欲望に汚されていき、シオンが指導者になるとついに人を殺す域までにたっした。
この独占的な指導者はクローンばかりか従わない人間にも打ちこんだ。
欲望と独裁者の犠牲がまたでようとしている。
そしてそれは宇宙空間すなわち異空間にもおよぼうとしている。
「ほんとはこんなのいらないけど保健だね。」
頭に機材を押し付け、造られた過去の自分にシオンはカプセルを打ち込んだ。
「シオン様、こちらも準備完了です。」
シオンに忠実なカズが静かにいう。
「我々の成功を祈り乾杯をしよう。」
赤々とした液体を満たしたグラスをとり掲げる。
「美しきシオン殿下、万歳!」
飲んだグラスをクローンの自分に投げつけた。
シオンに習いカズも投げつける。
「アーリア、後は任せたよ向こうの準備も完璧かな?」
壁に持たれていたベールで顔を隠した女性にシオンが声をかける。
「シオン様、準備は完璧ですわ。あちらも準備は出来たとディズから連絡ありましたわ。」
甘い声で女性がこたえる。
「君たちの栄光を祈るよ。」
額の血を舐めとりはきだす。
二つのカプセルはゆっくり動きだした。
アーリアが作り出しワープゲートでクローン人間、エイジ、ヒカルの二人はカプセルから起こされた。
「お前たちはこれから異世界にある地球という惑星に送られる己の使命をしっかりはたせ。逃げようなんて思うんじゃないよ。」
黒いベールから出ている赤い唇が二人の目に焼き付く。
まぶしい光とともに二人は地球へ送還されていった。
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