第2話次の為の反省会
「………おはようございます魔王様」
「おはよう? 意外な挨拶だな
「何時でしたっけ」
「昼だよ! ちょっとしたティータイムだよ!
全く、昨夜はずいぶん飲んでいたようだな、少々気が緩みすぎだぞ。軍の半数が半休を申請してきたぞ」
「半分で済みましたか、二次会で散々呑ませたのに」
「残り半分は無断欠席だ」
「あらまあ」
「奴等には後程制裁を加えてやるとして、闇巫女よ。お前は申請をして居ないようだが? 遅刻か」
「えっと………眼が覚めたらこの時間でした」
「お前にも罰が必要だな」
「待ってください、遅刻ぐらいでそんなに怒らなくても良いじゃあないですか。………自分一人だけ二次会に誘われなかったからって」
「………
………………………
………………
………
「………酷い目に遭いました」
「自業自得だ馬鹿者」
「女性の扱いがなっていないと思います」
「出力が足りなかったか」
「さぁ仕事をしましょう魔王様。
秩序神様の御意志の下、我らに課せられた使命を果たしましょう。世界の大敵として、種族間の憎しみを我らへの憎しみへと変え、争いを無くし、世界を長持ちさせましょう。
些細な罰を与えている場合ではありません」
「………まあ、良いが。丁度良い、お前も手伝え。他人の視点も参考にしたいからな」
「勿論です、魔王様の補佐が私の役目ですから。それで、どのような?」
「これだ」
「………? これは、なんですか?」
「勇者の仲間たちの肖像画だ」
………………………
………………
………
「えっと………剣女帝アンナマリア、千の呪文使いクラリス、神の乙女リーザリーザ。皆、相当の実力者ですね。それがどうかしたのですか?」
「何か気付かないか」
「は?」
「ほら、共通点に気が付かないか?」
「共通点? そう言われましても、人間にエルフ、妖精族と種族もバラバラですし。精々女性というくらいしか………」
「それだよ」
「どういうことですか?」
「そのままだよ。………勇者の仲間は、女性ばかりなんだ」
………………………
………………
………
「勇者に仲間が出来たのは、2回目の
「凄いですね、見事に女性ばかりです」
「非常にバランスが悪い。なんだ、女好きか奴は?」
「好みは人それぞれですし。別に、目的さえ果たしてくれるのならば構わないのではないですか?」
「その目的が困難だというのだ。
良いか、勿論我輩だって男だ、気持ちは解る。女性に囲まれた旅というものに憧れを抱く気持ちはな。だが、時として憧れは憧れのままにしておく方が良いのだ。女3人と男1人だぞ? 毎晩がガールズトークだぞ? どんな地獄だそれは」
「何か女性に嫌な記憶でもあるのですか魔王様」
「おっほん、
それに、実務的な意味合いもある。これだ、聖剣以外の最強装備である、
「なるほど………、では、女性用の装備を作られてはいかがですか?」
「それも良いが………やはり、勇者に男性を仲間にして貰った方が早い。そこで、何故女性ばかり選ばれるのか調べたいのだ。
………先ずは、戦士から行くぞ。これが男性案だ」
「これは………ずいぶん年期の入った類人猿ですね」
「失礼だと思わないのか」
「しょうがないじゃないですか、筋骨隆々、髭面のゴリラですよこれは。握力はいくつですか?」
「それこそしょうがないのだ、剣の扱いに筋力は必須だし、長く訓練して漸く一人前なんだよ。
大体、魔王退治だぞ。世界の命運を背負った戦いだぞ? 年端も行かない若者ばかりに任せる方がどうかしている」
「まぁそれはそうですが………、これでは選ばれないのも無理はありませんよ。
逆にお訊きしますが魔王様、貴方は見目麗しい女性とゴリラのどちらと旅をしたいのですか?」
「………改革案は?」
「顔ですね、それと年齢。やはり十代の方が良いでしょう。えっと………こんな感じです」
「ずいぶんな優男だな………髪が長くて邪魔じゃあないのか? それに、なんか冷たそうだし」
「大体の勇者は熱血漢ですからね。バランスをとってクールなツンデレにしました。
年も近いですし、これなら勇者×戦士でも戦士×勇者でも平気でしょう」
「何を言っているのか解らないのだが。
それにこれでは、筋力の値が足りないかもしれん。もう少し筋肉を増やそう」
「あ、勝手に何をやってるんですか!」
「勝手にって………」
「ほらぁ、これじゃあ童顔のゴリラじゃないですか! この顔で『ふっ』とか言っても決まりませんよ!」
「ま、まぁ、案の1つだから、決定じゃないから!」
「解りましたよ、後で直してくださいね、全く………。
次は魔法使いですか。こんな感じでどうです?」
「眼鏡をかけた優男だ」
「頭が良さそうかなって」
「………あと、目付きがやたら鋭いけど、これもクール系なのか?」
「いえ、これは皮肉屋です。勇者のやることなすこと一々貶してきます」
「なんて嫌な奴だ」
「けれど、本心では勇者の事を気にかけています。不器用ですが、勇者が本当に辛いときには傍に居てくれる、ふとしたときに見せる真剣な瞳が魅力、そんな感じです」
「………やはりこの企画は止めようかな………」
「次は神官ですね。パーティーの回復役、守りの要です」
「あー、うん、これは原因ははっきりしている。我輩のせいだと思う」
「………? これが絵ですか………。あー、成る程。そういうことですか。
………ハゲですね」
「僧侶だからと安易にやってしまった。で、大不評だったのでしょうがなく帽子を被せたのだが………」
「ますます際立ってしまいましたね、いえ、なにがとは言いませんが」
「そこで前回は、髪を生やした。ところがだ」
「完全に、ふたを被せた感じですね。人工的な、その、増毛手段を感じます」
「そうなんだよ………。もうこれについては我輩には完全に打つ手がない。これ以降何を作ってもハゲの印象が拭えないのだ。お前の意見をそのまま活かしても良いと思う」
「本当ですか? え、本当ですか?」
「………やっぱり一応確認しようかな」
「解りました。こんな感じで、そうですね、勉強熱心な神学者ということにしましょうか本の虫といった感じでいつもいつも読書に明け暮れていたのですが勇者の熱意に負けて出立、それでも旅の最中にはやはり読書ばかりで仲間との和を上手く作れず気にかけてくれる勇者の事がだんだん彼の中で大きな存在となっていき、けれども同時にその博愛主義に嫉妬を覚え独占したくなっていってしまってそんな自分の欲望と神の教えとの間で板挟みになって苦しむ、『君が悪いんだよ、僕の事だけ見て欲しいのに、他の人を気にしてる。そんな優しさに僕は救われたのだけれど、けど、今夜だけはどうか僕だけを見て』なんてキャー!」
「
………もう、女性用の武器を創ろう………」
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