叙情詩

女が欲しい


可愛くて丸っこくて目が大きくて体がもっちりしていて


デートがしたい


二人でカフェで話がしたい


人に褒めてほしい


優しく


僕のことを笑わないでほしい


誰もが僕の悪口を言わない世界で


二人っきりでキスがしたい


友達がもっとほしい


楽しい時間 うれしい時間 泣けるような焼け付くような思い出がほしい


過去を思い出してもそこには凄惨しかないのに


誰も話してくれなかった


ずっと一人ぼっちだった


いじめられて


泣くのをずっと我慢していた


ちゃんと生きてきた


俺は俺なりに正直に生きた


真実に忠実に


嘘をつかずに


逃げたくなっても


我慢しながら


何かを探しながら


疲労に耐えながら


何かを探していた


まさかこんなことになるなんて


さぁ


世界が揺れた


地底から赤い溶岩が湧き出てくる


地球の中心にあった赤い火が


長い間空ばかりみていた


手の届かなさに絶望した人間たちが


地の底を覗き込んだ


初めての日が訪れる



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