第8話寝付けない夜と慌ただしい朝

 寄り道してしまったせいで、予定よりガウルに到着するのが遅くなってしまったが、なんとか日が落ちる前には着くことができた。

 オークの親玉を叩いたおかげか、洞窟を出てから町にたどり着くまでに、オークに襲われることもなかった。

 ガウルの町は僕たちの住むダリアの村よりも賑わっており、行き交う人々のざわめきが聞こえた。大きな通りの端では商人達が露店を開いていたりして、かなり賑わっている。

 僕自身は、何度かこの町を訪れたことがあるとはいえ、やっぱりこういう賑やかなところにくると、自然と気分が高揚する。

「オークのアジトでのことについて報告するために、あたしは自警団のところに行ってくるけど、あなたたちはどうするの?」

 しっかりと整備された石畳の道を歩きながら、アスカが口を開いた。

「僕はアスカについて行こうと思うけど……、一応こいつらのボスを倒したのは僕だしね……。みんなはどうする?」

「じゃあ、私も行く!」

「そうだな、もしかしたら俺たちにも何らかの報酬があるかもしれないし、ついて行くのが吉だろ」

 そんなわけで、四人でこの町の自警団に訪問することになった。

「あっ、そういえば親玉を倒したっていう証拠を何も持ってきてないわ……」

 自警団のたまり場に赴く直前で、アスカが額に汗を浮かばせながら言った。

 念のため、オークの親玉を撃破したことについて報告はしたものの、やはり証拠不足ということもあり、感謝の言葉を述べられるという報酬だけで終わった。

 まあその気持ちを物に還元して欲しいところだけど、アスカの言ったとおり証拠もないし、こんなもんだよね。

 アスカのほうはともかく、ボクらはもともと見返りを求めてオークのアジトに赴いたわけじゃないから、それほど気落ちすることはなかった。一方のアスカは、もともと依頼を受けてオーク退治に赴いていたらしいが、報酬がもらえなかったことにそれほど落ち込んでいる様子はなかった。

 その後、僕らはガウルの町の中を少し歩いて、今晩泊まる宿を探した。そこで早めの夕食を取り、それからはそれぞれの部屋で明日に備えてのんびりと過ごすことになった。

 ここまで来たら道連れというわけではないが、別々の宿に泊まる理由もないので、アスカも同じ宿に泊まることにした。

 僕以外誰もいない空間で、僕はベッドで仰向けになりながら、今日一日の出来事を反芻していた。

 今日は不思議な魅力と力を持った女の子に出会った。間違いなく美少女なのに、それを鼻にかけたりもせずに割と近い距離で、僕と接してくれる女の子。

 僕はどういうわけか異性というよりは、同性の友達に近いような感覚を彼女に抱いていた。しかも今日会ったばかりだというのに、かなり打ち解けられた気がする。

 そんな風に、アスカのことを考えていると、部屋の入り口のドアがノックされた。

 起き上がって返事をすると、ドアの向こうからアスカが現れた。

「お邪魔するわ。文字どおりの意味でね。オークと戦ってる時のことで、改めて礼を言いたくてね」

 後ろ手にドアを閉めて、部屋の中に入ってくる。

「よく言うよ。治癒魔法なんてもんがあるんだから、本当はいくらでも持ち堪えられたんじゃないの?」

 アスカは僕の答えに薄い笑いを浮かべながらベッドの近くの椅子に腰掛けた。

「治癒魔法だって、当然回復量には限界があるのよ。即死の攻撃を食らったら、治療なんてできるわけがない。だからあなたが助けに入ってくれたあの瞬間は、ホントに危なかったのよ」

 確かにあのときのアスカはまさに四面楚歌を体現したような場面に立っていた。自惚れとかでもなくて、僕が助けに入らなかったら本当に危なかったと思う。

「少しでも、僕がお役に立てたならそれでよかったよ。ところで、これからアスカはどうすんの? 旅の目的とかあるの?」

 年ごろの男女が夜に狭い密室で二人きり。本来ならば、なんとも妖艶なシチュエーションだろう。

 アスカは魅力的な女の子なのは間違いないんだけど、どういうわけか彼女と一緒にいても自分たちが男女であることを微塵も意識することはない。

 たぶん向こうも同じように思っているから、こうやって僕の部屋を訪れてきたのだろう。

「うーん……、一応旅の目的みたいのはあるのだけれど……」

 アスカは人差し指で唇をなぞりながら思考に耽っていた。

 ――前言撤回。

 そんな彼女がどうにも色っぽく見えてしまって、僕の心臓が少し速くなっていた。

 あっさりと数秒前に自分が抱いていた考えに背く僕。ついつい彼女の指の動きを目で追ってしまい、その結果彼女の唇に目が入ってしまう。

「でも、そんな急ぐもんじゃないのよね。あなたたちさえよければ、あなたたちについて行くことにしようかしら。別に断ってくれても構わないけど、その場合あなたがナナちゃんに抱いている思いの丈を本人にバラすわよ」

「――っ!」

 世界が反転したかのような錯覚に陥った。唇が震え、返すべき言葉を返せないし、そもそも返すべき言葉が思いつかない。

 口をパクパクとさせながら、アスカの顔を覗き込むと、彼女は勝ち誇ったかのように唇の端を歪めていた。

「随分わかりやすい反応ね。やっぱりあなた面白いわ」

 アスカは笑いをこらえながら言う。

 しかし一拍おいた後に、豹変したかのように真剣な面持ちになった。

「でもね、旅なんてしてたらいつ命を落とすか分からないのよ。現に今日あたしはオーク達に殺されてもおかしくない状況にあった。それはわかるでしょ」

「うん……」

「何があるかなんてわからない。気持ちは伝えられる時に伝えておいた方がいいわよ。まあこれはあたしのお節介なんだけどね。なんかあなたを見ていると放っておけなくて」

「ははっ、まあ心の隅にでも留めておくよ」

 答えると、アスカはどこか含みを込めたように、ふっ、と鼻を鳴らした。

 昨日夕方、オークの集団との戦闘において、僕は油断したところを背後からオークに斬りかかられそうになった。あの時、あの場にニールがいなかったら間違いなく大惨事になっていたことだろう。

 そういうわけで。旅の最中にいつ命を落としてもおかしくないという言葉は身に染みる。

「とまあ、説教臭い事はこれ位にしておこうかしら。からかうのは楽しいけれど、空気が湿ってしまうのは面白くないわものね」

 アスカは真剣な表情を崩して、口元を綻ばせた。

 彼女は本当にいろいろな顔を持っているかのように、コロコロと表情を変える。その表情の作り方が、人生の熟練者という感じがした。

「アスカは今何才なんだ?」

 見た目は僕とあまり変わらない気がするけど、アスカはずいぶんと大人びた雰囲気を持っている。実際のところはどうなのかと、少し気になっていたので思い切って聞いてみることにした。

「ん? 女の子に年を聞くんだ……。失礼な男ね。まあ、いいわ。答えてあげる。十八よ」

「僕と同い年か……」 

 そうなると僕は同い年の女の子に、自分の好きな女の子を言い当てられ、その上説教されたわけだ。そう考えると、どうにも情けない気持ちになってしまう。

「なんで僕がナナに好意を持ってるって思ったんだ?」

「そんなのは勘よ。勘。なんかあなた、ああいうタイプの子が好きそうだなって思っただけよ。女の勘はね、あなたが思っている数倍は鋭いのよ」

 なんか心を見透かされた気分だった。まさか、今日会ったばっかりの人間にここまで読み取られるなんて、僕ってそんなに分かりやすいのか……?

 それとも他に理由があったりするのか?

「ねえ、アスカ。本当に今日僕と初めて会ったの……?」

 昼間も同じことを口にしたけれど、この場で改めてその疑問を投げかけてみる。

「そうね、一応そうなるわね。でももしかしたら、前世とかで会ってるかもしれないわよ」

 アスカはいたずらっぽく笑っている。

「そういう妄想も嫌いじゃないけどね」

「だと思ったわ。あなたは、自分が勇者の子孫で、特別な才能があるんじゃないのかとか妄想するタイプね。昼間に勇者の話を持ち出したときに目が輝いていたもの。反応が相変わらず分かりやすいのね」

「――ぐっ」

 もう何もかもお見通しじゃないか。彼女の前じゃ、僕は丸裸にされたも同然なのか。

「あ、あ、ああしたはすぐ町を出て、王都の方にむむかうからな。早く寝といてね」

 これ以上、自分のことを悟られるのはマズイ。そういうわけで僕は話題の変換を図った。

「わかったわ。あなたは一人で寝れるのかしら? なんだったらあたしが一緒に寝てあげてもいいわよ」

「結構だよ!」

 これ以上問答を続けていても、僕が嬲られるだけであることを予想して、アスカを無理矢理部屋の外まで押し出した。

 人の気配が消えた部屋の中で、僕は部屋の明かりを消しベッドに入って瞼を閉じた。

 まぶたの裏では、妖艶に微笑むアスカの姿が映し出されて、妙に彼女のことを意識してしまって、僕は夜がかなり更けるまで眠りにつけなかった。


 翌朝、僕はさわやかな朝日と共に目を覚ました。窓から差し込む陽光が、今日も絶好の旅日和であることを告げていた。

 とても些細で小さな目標だが、旅が始めた暁にはナナに頼ることなく自分の力で目覚めよう、という密かに抱いていた目標を達成できた。

 小さな達成感を感じてながら身を起こして大きく伸びをした時、僕の視界がこの部屋にはあるはずのないものを捉えていた。

 ベッドの隅に何か、肌色の人影のようなものが見えた気が……。

 勇気を振り絞り、そちらを振り返ると、そこには女の子が横たわっていた。さらさらの長い漆黒の髪を持ち、身長は女の子にしては長身で僕と同じくらいの少女。

 彼女は下着しかつけていない姿で、穏やかに寝息を立てていた。ベッドの横には、ご丁寧に彼女が身につけていたであろう衣服がたたんであった。

 ――なんだ、この状況は……?

 まず間違いなくこの女の子はアスカだ。だけど、どうして彼女がここにいる?

 確かに昨夜アスカが僕の部屋に来たときに「一緒に寝てあげましょうか」みたいなことは言っていたが、僕はそれを丁重にお断りしたはずだ。

 もしかして僕はその誘惑に抗うことができずに、過ちを起こしてしまったのか?

 全身から嫌な汗が噴き出してきて、背筋に何か冷たいものが伝い落ちる。

 いや、今は状況分析よりも、この状況をどうするかを考えるほうが先だ。なぜならば、普段の習慣とは旅に出ていても続いているもので、きっともうすぐナナが僕を起こしに来るからだ。

 もしナナが今の僕の部屋に足を踏み入れてきたらどうなるだろうか。それを想像するだけで体温が二度くらい下がってしまう気分だった。

 とりあえず僕が今すべきことは、ナナが訪れる前にアスカを彼女の自室へと送り返すことだ。

 そうと決まれば善は急げだ! 下着の女の子を直視するのは心臓によろしくないけれど、そんなことを言っている場合ではない。

 嫌でも――別に嫌ではないんだけど――アスカの肢体が目に入ってしまう。ほっそりとした女の子らしい四肢に、穢れなき真っ白な肌は、オーク相手に渡り合っていたとは思えないくらいに、官能的を通り越して芸術的なほどに美しいものに見えた。

 そして極めつけは、服の上からでも十分にわかるほどに強調されていた二つの膨らみ。そして今、それは衣服というリミッターを取っ払ったことにより、もはや兵器と化している。

「アスカ! 起きて!」

 男の本能に全力で逆らいながら、その身体を見ないようにして遠慮がちにアスカを揺さぶった。

 その振動に合わせるように二つの兵器がゆらゆらと揺れる。なんかもう色々とよくない情欲がわき上がってくるが、僕はあらゆる限りの理性を持ってそれをはねのけた。

 アスカはうっとうしそうに、安眠を邪魔するなと言わんばかりに、身じろぎをして僕の手をはねのけようとしていた。

 その抵抗にめげずに何度か揺さぶっているうちにアスカは観念したのか、めんどくさそうに唸りながら上体を起こし、僕の顔をまじまじと見つめた。

 その視線に、僕がうろたえていると、

「ゆうやあ、やっと会えた」

 アスカが砂糖菓子よりも甘ったるい猫撫で声を出しながら、スラッとした細長い腕を、僕の首に絡めてきた。

「なにして――やめっ」

「うふふふー、やっとつかまえたあ」

 アスカはそのまま体を組み替えてくる。

 僕はまんまと彼女に組み伏され、アスカが僕の上に馬乗りになる。

 見上げると、綺麗な真っ白くて透き通った肌がはっきりと僕の目の前に晒されていた。下着姿の女の子、しかも正真正銘の美少女。

 ちょっとキツめの性格だけど、そんな子が、今僕に馬乗りの状態で目の前にいる。

 アスカはうっとりとしたような蕩けた瞳で、僕を真っ直ぐに見つめていた。それは昨夜の理知的でいたずらっぽい感じの彼女からは想像もできないような表情だった。

 ――もう本当に色々とマズイ。

 誰だよ、アスカを異性としてあんまり意識しないとか言った大馬鹿者は。この状況を見ても同じことを言えるのか? そんなことを言えるヤツがいるとすれば、それは男として色々と間違っている野郎と言えるだろう。

 胸中の呟きですら早口になるくらいに、どうしようもなく狼狽えていると、アスカが子どものように無邪気な笑みを浮かべ、覆い被さるように抱きついてきた。

「だいじょうぶだよ~。今度はあたしが守ってあげるから」

 アスカは僕の首に手を回して、耳元で思わず背筋が震えてしまうような声色でささやいた。

「―――――っっっ!!!!」

 声にならない悲鳴を上げて、僕はこの時に実感した。

 僕の胸のあたりに押しつけられている丘のような膨らみはもちろんのこと、それ以外にも女の子の身体はどこを取っても本当に柔らかいということ。

 女の子特有の甘い香りが僕の鼻腔をくすぐった瞬間、何かが崩壊して、僕の内側に住まう悪魔が語りかけてきた。

 ――もうこのまま身を任せて、彼女に溺れてしまってもいいんじゃないか?

 そんなことが頭をよぎった、その時だった。

「ユウヤ! 起きてる?」

 ノックの音とともに、ドアの向こうから僕を呼ぶ声がした。

 飛び出しそうになっていた理性が、一斉に僕の中に帰ってくる。

 マズイ! ナナの声だ。この状況で部屋に入って来られるのは本当にマズイ。

「ナナ! もう、僕はもう起きてるから大丈夫! すぐに行くから先に食堂行ってて!」

 なんとか部屋に踏み入れられないために、声を上げて全力で僕が起きていることをアピールする。

 だけどね、現実ってのは無情なんだ。まあ僕の日頃の行いが悪いせいなのかもしれないけどさ……。

「そうやって、ユウヤはいっつも二度寝するんだから! 今日は騙されないからね」

 無慈悲とも思える宣告とともに、ナナがドアを開いて顔を覗かせた。

 その瞬間、すべてが終わったと思った。こんなんだったら、今までもナナが起こしに来る前にちゃんと起きておくんだった。普段から二度寝なんてするんじゃなかった……。

 後悔の念が僕を押しつぶした。

「ほらあ! やっぱりまだ寝てた。早く起きないとダメだよ」

 部屋に入ってきたナナは、ドアのところに立って唇を結んで怒っているような表情で僕を見ていた。

「あっ、いや、これは――」

 言い訳の言葉を並べようとしていると、異変が起きていた。

 僕に抱きついていたはずのアスカが、いなくなっていたのだ。

 その時になって、僕はようやくいつの間にか身体を覆っていた柔らかい感触がなくなっていたことに気がついた。

 少し名残惜しさを感じてしまっている自分を、首振って戒めながらベットから下りてナナへと歩み寄る。

「もう。ユウヤ、ダメだよ。ちゃんと起きないと」

「ああ、ゴメン。着替えたら行くから、部屋で待ってて」

 ボクがそう言うと、ナナは頷いて部屋を出ていった。僕はその背中を見送ってから、後ろ手でドアを閉め、ほっと一息ついた。

 なんだ……。アスカが隣に寝てて抱きついてきたっていうのは、夢だったのか――。

 そうに決まってるよね。あの大人びた感じのアスカがあんな甘えた声を出すわけがないし、あんな無防備な姿を晒すわけがない。

「それにしても変な夢だったな……」

「どんな夢を見たの?」

「いやあ、アスカがさ――って、わあっ! びっくりした……」

 声の聞こえた来た方向に視線を向けると、アスカがベッド横に立っていた。

 衣服はちゃんと身につけていて、その声もさっきまでのような甘いものではなく、昨日夜と同じものに戻っていた。

「迷惑かけたわね。あまり気にしないで」

 腕を組んで、少し目を伏せながら淡々というアスカ。その頬が若干朱色に染まっているように見えたのは僕の気のせいかもしれない。

 当然、僕もかなり恥ずかしかくてあり得ないくらいに顔を真っ赤にしていたわけだから、それを指摘できるわけもない。

「いや……、でも、いつの間に……?」

「ナナちゃんが入ってくる直前に、目を覚まして入り口から影になるところに隠れてたの。それともいつの間に部屋に入ったかという質問なら、あなたが寝ているときでしょうね。ただそのへんは私も寝ぼけてて、ほとんど覚えてないのよね。それじゃあ、とりあえずあたしは自分の部屋に戻るわ。それにしてもナナちゃんって健気でいい子ね。あたしもああいう妹が欲しかったわ」

「ちょ、ちょっと待って」

「それと、一夜の過ちみたいなのは犯していないはずだから安心してちょうだい。まああんな姿と醜態を晒している時点で、あたしにとっては過ち以外のなにものではないのだけれど」

 こちらに背中を向けながらアスカは手を振って出て行ってしまった。

 結局なんだったんだ……。

 それからしばらく、真っ白な肌のアスカの肢体が脳裏にこびり付き、さらに僕の肌に触れていた彼女の柔らかさがいつまでも僕の全身に残っていたせいで、悶々とした気持ちで朝の準備を整えたのだった。

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