第86話 禁止する俺
お家に帰ってきた。とぼとぼと歩きなんとなくやる気がでない。
いつも通りぼっち生活に戻る。
寂しい。
モーレツに寂しい。
人肌が恋しい。
戻ってきてまず最初にやったこと。山羊を血祭りにする。お腹が減ったので山羊を潰して食べるつもりだ。
寂しさを食欲で埋め尽くしてしまおう作戦なのだ。
山羊を潰してすぐに食べるのはレバーだけだ。レバーはすぐに腐ってしまうので新鮮な内に食べてしまう。肉は川の中に入れて1日ぐらい置いて熟成させないと美味しくない。本来は冷温乾燥をしたほうが旨味が増すのだろうが、高温多湿の気候なので家の中に吊るしておいてもすぐに腐り始めてしまう。
戦力を増強するために人形作りや鉄器作りをやらないと、とは思うが気が進まない。あれだけの災害を引き起こしたのが俺かもしれないと考えると大声で叫びながら全力疾走したくなる。
そういえばあのゾンビ達はあの後焚火に突っ込んで行ったのだろうか。何にも考えずに命令してしまったが見張りの兵士達がびっくりしてないだろうか。悪魔の仕業だと思っても非難できない。
――バイオハザード真っ青だな。
一見普通の人間たちが覚束ない足取りで迫ってくる。しかも目からは蛆が湧いていたり身体の一部が腐り溶けていたりする。
否。考えてはダメだ。
俺の祝福ももっと平和的な活用方法が無いだろうか。食い物関係に使えても迫り来る敵には役に立たない。
もう少しマイルドな菌とか無いのかね?
元の世界では文系なので生物とかは殆ど勉強していない。TVや本なんかで目にしたり聞いたりしたものぐらいだ。
……え〜と。赤痢菌とかペスト、黒死病、天然痘、麻疹、結核、梅毒、コレラ、肝炎、淋病、ボツリヌス菌、SARS、エボラウイルス、異常プリオン、エイズ。
こんなぐらいかな? 他にもきっかけがあれば思い出しそうだけども。
どれもこれもマイルド感じがしない。本格的に人類滅亡計画が発動しそうだ。もしかしたら俺の祝福ってかなり危険性が高いんじゃね?
よし。生物兵器として使うのは禁止にしよう。お腹ピーピーの刑も禁止。ろくな事にならん気がする。
今まで通り毒矢ぐらいにしておこう。
――そういえば昔、
炭疽菌は感染に速効性があって、人から人に伝染らないから鎮静化するってなんかで読んだことがあるな。でも他にやばいことがあったような気もする。
いや。ダメだ。禁止だ禁止。
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