第84話 再度街に向かう俺
早朝に家を出て街を目指した。
今回はゲリラ人形も大勢引き連れて向かう。あまり移動に適した作りでは無いが数を用意できるのがそれしかいないのでしようがない。猿飛サスケ人形は斥候として先行、警戒させる。
街道を少し歩くとすぐにサスケ人形が戻ってくる。喋れないのでハンドサインで確認するとこの前に倒れている集団がいるようだ。殆どが絶命しているとある。
そこまで辿り着き様子を窺う。
青壮年の集団で5〜6名いるが全て亡くなっている。死体は外傷は無いが痩せ細っている。目から蛆が湧いているので亡くなってから数日経っていそうだ。死体の数に比べ荷物を遺棄している数が少ないようなので他に生きている人が持ち去ったと考えられるな。
死体を転がしながら調べると口に嘔吐のカスやズボンのお尻のところがもったりしてる。
――どうしたんだ?
原因は不明だが死体をこのままにしておくのも忍びない。それに死体をそのままにしておくと伝染病が発生しそうだしな。
俺が埋葬してやることにするが、その前に少し死体さん達にご協力をお願いすることにした。
俺の祝福
何かあった時にこいつら、否、仏様達を盾にして逃げれば時間稼ぎになるかも。
これが本当の肉の壁。なんちて。
でも、この哀れな仏様達が向かってきたら俺だったな泣く。青白い顔をした奴らが目からは蛆をボロボロと落としながら覚束ない足取りで襲ってきたらトラウマもんだろう。少し腐ったような酸っぱい臭いもするし。
街に向かう道すがら死体があちこちに転がっている。動きそうな死体だけをピックアップして歩いて行く。総勢50名にはなりそうな集団になったが、歩みが遅すぎて街に着く前に日が暮れた。
――しかし、なんでこんなに死体がゴロゴロしてるんだ? 外傷もほとんど見当たらないから戦争や物取りが原因ってわけじゃなさそうだし。
野営をすることにして、森の中に入っていく。死体は道際の藪の中に座らせて隠しておいた。完全に隠れていないので頭が藪に生えているように見えるが気にしない。夜間に道を歩く人のことは考えない。
猿飛サスケ人形に街の様子を窺うように指示をして携帯食を口にする。
倒木を立木に立てかけ、枝と落ち葉、苔などで簡易のシェルターを作り、革でできたマントを拡げ寝転ぶ。
――なんだか腹が痛くなってきた。吐き気もする。変なもん食ったか?
念のために
ふと思った。
彼奴等じゃね?
あの仏様達がなんかしらの病原菌に侵されてたのかも。
俺か? 俺なのか?
俺が街に対して病原菌を撒き散らしたからなのか?
――ふっ。まさかな。
よもやと思い俺自身にO157菌とインフルエンザ菌の駆除をするように真言を唱えると徐々に身体の調子が戻ってきた。
……まさかな。
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