第44話 酸っぱい俺
もう一つの調味料。
砂糖である。
パームシュガーの素である団扇の葉っぱのヤシの実を採取する。
木の高さが20mもある大きな木なので木登り専用人形に任せることにする。
木登り専用人形は10kg程度で足は尖って木に刺さる、手は両手を繋げると木を抱えるように輪っかになる。足を突き刺し、手で支えエッチラオッチラ登っていく。
これを2体作り、木を見つけては登らせ実を落とさせる。
それほど採取できないし、実を潰しても絞ってもあまり果汁は出ない。
果汁を煮詰めると気休め程度の量は出来る。非常にコストパフォーマンスが低い。
がっかりするので他の手段を模索することに。
昔、じゃが芋に含まれているデンプンは胃の中でブドウ糖に変化しエネルギーになるとスポーツ系雑誌で読んだことを思い出した。その記事の中で「このスポーツ飲料は天然の食材であるじゃが芋からブドウ糖を作っているからとってもロハス!」みたいな記述があった。
このロハスって言葉に反吐が出そうだと思って眺めていた記憶がある。
なるほど。デンプンから糖質ができると。
試しにじゃが芋から酒が出来るか実験をしていたけど、あれも微生物がデンプンからアルコールにしているわけだ。
つまりは、じゃが芋からブドウ糖がきるるのだろう。
鍋いっぱいに茹で上がったじゃが芋に真言を唱える。
――酵素? 酵素か? デンプンを分解できる酵素を持つ微生物よ。生まれろ。
とやってみた。
かなりの何かが体から持ってかれた感じがするので成功したのだろう。
このまま発酵を促す。
あまり放っておくとそれこそ酒が出来てしまうかもしれないのでチョイチョイ様子を見るべきだろうな。
そうそう。酒を作った話な。
出来た。出来たった言うか……。
ぷちぷちと泡だった酸っぱい何かだった。何かと言いますか……。吐いたときのあの感じ?
蒸留させて焼酎みたいにしないと飲めたもんじゃない。
蒸留器があるわけでもないし、そこまで酒に情熱を傾ける気もしないのでこれ以上何かすることは当面無いだろう。
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