第43話 吠える俺

 調味料の充実を図る。


 塩泉を見つけたが、滲みだしている程度の場所があった。

 採取方法が問題で、布に染み込ませて絞る方法は手間が掛かり過ぎる。

 これを改善する。


 掘ってみるか。

 でも、掘ってみて万一枯れてしまっては元も子もない。 

 なので、溝を掘り溝の流末を絞り竹の水筒に落とし込めるようにする。

 問題なのは、この場所がかなりの斜度のある坂であるということ。

 足場が悪くここまで登れる人形が作れない。作るにはエバレベルの製作日数が必要になる。

 そこで、長い竹を半分に割り節を抜き、また合わせる。竹管の出来上がり。

 この竹管で取水し易いところまで伸ばし、人形に採取させる。


 本来はここで蒸留させ製塩させたほうが効率はいいのだろうが、火を焚く作業は管理しないと危なくてしようがない。


 火で思い出したけど、エバに火を起こさせてみたんだわ。錐を手に入れたんで鹿の角でファイヤーピストンを作ってやったので。

 俺は火種魔法が使えるからっていっても緊急で点けなきゃいけない場合もあるかなと考えたからね、

 ファイヤーピストンで圧力を高めて火口を点火させて火を大きくしようとしたらエバが焼け始めてやんの。慌てて消したけど。

 俺がくれてやった髪の毛がチリチリになってた。


 ともあれ、大きな鍋を廃村から持ってこれたのは大きい。これで製塩が捗る。寸胴鍋のような形で高さが50cmあるので70Lは入るだろう。前に蒸発させて作った時に分かったのだが塩分濃度は3%ぐらいのようだ。なので2kgはできる計算だ。


 まあ、それだけ塩泉を溜めたり薪を集めたり焦げないように見張る手間が掛かるが。


 これで手始めに味噌を作る。

 作ったことがないのでぶつけ本番になってしまうが……。

 大豆1kgを水に1日さらして柔らかくする。そしてすり潰す。燕麦の押し麦もふやかして入れる。その上に500gの塩を投入。


 ここで俺の祝福《【微生物学者】》を発動。麹菌を生みだす。


――ぐぬぬ、あ、頭が重い。割れる。


 めちゃくちゃ吸われている感じに。

 途中で気を失って気づいたら翌朝。これを繰り返すこと2日。命をかけている感が半端ない。


 これを殺菌した大きな葉っぱで包み自作の樽に入れ貯蔵する。

 本来は半年〜1年掛かるのだが、一握りだけを俺の魔法祝福で発酵を促進させる。


 これを鹿の肉に漬け焼いて食してみると、


「……う、うまいぞ〜〜」


 と吠える俺だった。



 味噌は1年ほど置いておくと底にたまり醤油ができるらしいのでそれも楽しみだ。

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