第39話 出る俺

 遠出ができるようになったとはいえ、食料の問題もあるし、見知らぬ土地では安全確保をするのも容易ではない。


 俺の装備としては弓と剣が武器になろう。鉈やナイフは武器ではないかな。


 エバの装備も弓と剣。ただ格闘の命令プログラムはそれほど細かく設定できなかった。

 そもそも俺が経験がないのにそれ以上を目指しても出来るはずがない。自身を守る必要がないので自爆覚悟の戦いは出来るだろうが。

 竹槍の有効性も考えたが、この密林内では取り回しが悪いので却下した。よってメインウェポンは弓だろう。

 弓は経験を積むことにより自動修正が出来るように設定をした。100m以内であればかなり当たるのでまあ良しとしよう。


 ともあれ3日分の食料をもち、街道に向かって出発した。



 あれから4ヶ月は経ったのだろうか。

 あの時の惨状は綺麗に片付いているが、地面が焦げた跡が一部残っていたり、骨が街道の外に投げ捨てられていたりした。

 定期的な清掃のようなものがあるのだろうか。

 

 隠しておいた木箱に入れた金床は多少さびてはいるものの置いてあった。



 改めて街道に目をやる。

 街道は東西に向かって走っている。

 どちらを向いても視界があまり良くなくどちらかに何があるかは分からない。

 悩んでも仕方がないので西側に進むことにした。



 暫くあるくと森が拓けた場所にでた。

 どうやら畑のようだ。

 久しぶりの人里だ。

 空気の匂いまで違って感じる。


 ようだが、様子はおかしい。

 畑が掘り返されていて荒れている。


 そのまま、歩みを緩めずに道沿いに歩いていく。


 道の先にはポツンポツンと木造の家が散見されるが焼けたり倒壊していたりする。


――火事か? それとも山賊が襲ってきたのか?畑のモノまで掘り起こすとは念の入った山賊だな。



 エバに周囲を警戒させると、焼け落ちた家の中に入る。

 焼け落ちてからだいぶ日が経つようで、朽ちている様子が窺える。


 色々、周辺を見回った結果、ここは30戸程度も村で、街道の宿場でもあったようだ。

 それぞれ酷い状態の家ばかりで形を成していないものも多数あった。

 The 略奪って感じ。 


 家の中には死体が多数のこされていたものもあるし、村の中心部の広場らしき所には大きな焚火跡があり、焼けた骨も大量にあった。

 ただ死体の数と家の数が合わないような気がする。

 30所帯あれば3~4人家族で90~120人ぐらいいてもおかしくはないはず。1体1体調べたわけではないのでおおよそだが60体位しか死体が無かったはず。

 しかも子供っぽい死体もあまり見てないし。

 子供が居ないってことはないだろ。



 その日は倒壊した家でもマシな家を選び、エバに周囲を警戒させながら寝た。

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